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立春の意味や決め方とは?2023年はいつ?食べ物や行事について解説

2021年12月25日

冬の寒さがピークを迎える2月上旬、その頃に迎えるのが「立春」になります。

春には程遠いと感じてしまう時期になりますが、皆さんは「立春」の意味をご存知でしょうか。

また、「鬼は~外、福は~内」で有名な「節分」と「立春」は切っても切れない関係にあるようです。

そこで、この記事では、

  • 立春の意味や決め方
  • 立春が年によって変わるのはなぜ?
  • 2023年(令和5年)の立春はいつ?
  • 立春の「七十二候」とは
  • 立春の行事や食べ物

について解説・紹介していきます。

立春の意味や決め方とは

「立春(りっしゅん)」は、『二十四節気(にじゅうしせっき)』の中の一つで、
冬が極まり、春の気配が立ち始める頃という意味があります。

まめすけ

冬が極まったということは、これ以上寒さが増すことはないことを意味しているよ。
でも、この日から暖かくなるというわけではないんだ。

二十四節気とは、一年を24の季節(節目)で分けた暦のことです。

二十四節気については、下記の『二十四節気とは?』の記事内で詳しく紹介していますので、よろしければご覧ください。

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立春の決め方

太陽黄経のイラスト

立春は、「定期法(ていきほう)」と呼ばれる太陽の動きを基にして定められており、太陽黄経が315度となる日が「立春」になります。

太陽黄経(たいようこうけい)とは、太陽の通り道である「黄道(こうどう)」を360°に分けたものです。

毎年『2月4日頃』が「立春」となりますが、期間としての意味もあり、立春の次の節気は「雨水(うすい)」のため、
立春(2月4日頃)から雨水の前日(2月17日頃)まで(約15日間)を表す言葉でもあります。

ちなみに、立春は「二十四節気」の一番始めの節気であると共に、『春』の最初の季節にあたり、
立春雨水(うすい)→啓蟄(けいちつ)→春分(しゅんぶん)→清明(せいめい)→穀雨(こくう)』の順で春の季節が巡っていきます。

立春が年によって変わるのはなぜ?

立春は、1985年~2020年までは「2月4日」でしたが、2021年は124年ぶりに「2月3日」になり、ちょっとした話題となりました。

年によって立春は「2月3日~2月5日」で変動するのですが、その理由としては次のことが挙げられます。

【理由その1】暦と太陽年の日数が違う

暦は365日ですが、太陽が黄道上を一周する日数は365.24219日かかります。

そのため、太陽が立春点に到達する日数が毎年0.24219日(約6時間)ずつ遅くなっていくことになります。

1年で約6時間・2年で約12時間・3年で約18時間・4年で約24時間と考えると、4年で約1日のズレが生じる計算です。

【理由その2】閏年で太陽年とのズレが調整される

では、太陽年と暦のズレがどんどん大きくなっていくのかというと、そうではありません。

暦と太陽年のズレを調整するために4年に1度「2月29日」を加える『閏年(うるうどし)』設けられていますので、閏年の翌年の立春は日にちが調整されてまた日にちが戻ることになります。

しかし、閏年は1日=24時間なのに対し、太陽年のズレは0.24219日×4年=0.96876日となり、閏年による調整で1日増やしてしまうと、0.03124日(約45分)多く戻してしまうことになってしまうので注意が必要です。

こうした閏年での調整や暦と太陽年とのズレにより、立春の日は必ずしも2月4日ではなく、年によって1日前後変動するということになります。

それでは、分かりやすくここ数年の立春(太陽黄経315度)となった瞬間の時刻を見てみましょう。
※日本での立春日時は、世界時よりも9時間遅い時間となります。

 日本での立春日時
(世界時での立春日時)
 
2012年(閏年)2/4 19:22
(2/4 10:22)
 
2013年2/4 01:13
(2/3 16:13)
←前年の閏年によって24時間分調整+前年より約6時間の遅れ
2014年2/4  07:03
(2/3 22:03)
前年より約6時間の遅れ
2015年2/4 12:58
(2/4 03:58)
前年より約6時間の遅れ
2016年(閏年)2/4 18:46
(2/4 09:46)
前年より約6時間の遅れ
2017年2/4  00:34
(2/3 15:34)
←前年の閏年によって24時間分調整+前年より約6時間の遅れ
2018年2/4  06:28
(2/3 21:28)
前年より約6時間の遅れ
2019年2/4 12:14
(2/4 03:14)
前年より約6時間の遅れ
2020年(閏年)2/4 18:03
(2/4 09:03)
前年より約6時間の遅れ
2021年2/3 23:59
(2/3 14:59)
←前年の閏年によって24時間分調整+前年より約6時間の遅れ

表を見てもらうと、2021年は1分の違いで2月3日が立春になったことが分かりますね!

また、世界時で見てみると、実は2月3日が立春になるのは少し前からすでになっていたのです。

2023年(令和5年)の立春はいつ?

ウグイスのイラスト

2023年(令和5年)の立春は、
2月4日(土)です。

また、期間としては、
2月4日(土)~2月18日(土)までが立春となります。
※次の節気である「雨水」が2月19日(日)のため

ちなみに、次回立春が2月3日となるのは、2025年と予測されています。

立春と節分の日の関係

大豆と鬼の置物の写真

皆さんは、立春と節分の関係をご存知でしょうか。

「節分(せつぶん)」と言えば2月3日のイメージがあると思いますが、実は立春の日が変わると節分の日もそれに従って変動します

例えば、立春が2月4日であれば2月3日が節分、立春が2月3日であれば2月2日が節分となります。

つまり、節分の日は固定ではなく、
立春の前日が節分ということです。

本当は年4回ある節分

「節分」とは、本当は各季節の始まりとされる「立春」・「立夏(りっか)」・「立秋(りっしゅう)」・「立冬(りっとう)」それぞれの前日のことをいい、季節の分け目という意味もあります。

昔は、季節の節目には邪気(鬼)が生じると考えられていたため、節分には厄や災難を払う行事が行われていました。

季節の変わり目に体調を崩しやすいのは、邪気のせいだと考えられていたんだよ

すずめ

特に、立春は季節の始まりと考えられ、現在でいう「新年」と捉えられていたそうです。

そのため、年の終わりである「立春前の節分」は、特別な日として重要視され、「節分」と言えば立春前のことを表すようになっていったとされています。

立春の「七十二候」とは

立春は「二十四節気」の一つと説明しましたが、二十四節気をさらに細かく3つの期間に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるものもあります。

七十二候は、季節の移り変わりを短い言葉で表したものです。

七十二候も二十四節気と同様に、季節の移り変わりを把握するために中国から伝わったものになりますが、二十四節気は中国のものが変更されることなく用いられているのに対し、七十二候は日本の気候に合うよう何度か変更され、現在は1874年(明治7年)の『略本暦(りゃくほんれき)』に掲載されたものが使用されています。

では、立春の期間である3つの候を見ていきましょう。

東風解凍(はるかぜこおりをとく)

葉っぱの先についたつららの写真

立春の「初候(しょこう)」(2月4日~8日頃)にあたる『東風解凍(はるかぜこおりをとく)』は、東風が厚い氷を解かし始める頃という意味があります。

「東風」は、「こち」や「とんぷう」など様々な読み方がされていますが、七十二候では、「はるかぜ」と読みます。

早春に吹く東寄りの風が氷を解かすという、春の訪れを感じさせてくれる言葉です。

冬型の気圧配置が弱まると、太平洋側から東風が吹くようになり、寒気が和らぐとされていて、春の到来を告げる風と言われてきたようです。

ちなみに、暖かくて強風である「春一番」は、南から吹いてくる風になります。

黄鶯睍睆(うぐいすなく)

2羽のウグイスの写真

立春の「次候(じこう)」(2月9日~13日頃)にあたる『黄鶯睍睆(うぐいすなく)』は、ウグイスが山里で鳴き始める頃という意味があります。

ウグイスは、「ホーホケキョ」と鳴くのが特徴で、春先に鳴くことから別名「春告鳥(はるつげどり)」とも言われています。

ウグイスはよくメジロと間違えられがちですが、メジロは鮮やかな抹茶色をしており、名前の通り目の周りが白いのが特徴です。

メジロの写真
メジロ

「睍睆(けんかん)」という言葉には、『鳴き声が良い』という意味があり、日本ではさえずりが美しい鳥としてウグイスは、オオルリ・コマドリと共に「日本三鳴鳥(にほんさんめいちょう)」にも選ばれています。

魚上氷(うおこおりをいずる)

立春の「末候(まっこう)」(2月14日~18日頃)にあたる『魚上氷(うおこおりをいずる)』は、水面に張っていた氷が割れ、魚が飛び跳ねる頃という意味があります。

春を告げる魚としては、メバルやニシン、サワラのほか、川魚ではイワナ・ヤマメ・アマゴ(甘子)が挙げられます。

清流釣りの解禁日としては3月からが多いですので、春の味覚を味わうのは少し先になりますが、冬の間じっと姿を隠していた魚たちが活発に動き出す様子は、春の訪れを感じさせてくれるでしょう。

立春の行事

立春の行事として、禅宗の寺院や檀家(だんか)では、「立春大吉(りっしゅんだいきち)」と書いた御札(おふだ)を門に貼り、厄払いをする風習があります。
※檀家とは、その寺院に所属する家のことです。

「立春大吉」は、一年の始まりとされていた立春に、一年間の幸せを願って貼ったことが由来とされています。

御札は一年間貼り、翌年の立春で張り替えることとなります。

立春大吉のありがたい効果

「立春大吉」という字を見ていただくと、すべての文字が左右対称になっていることが分かりますね。

御札は縦書きに書くのが基本ですので、「立春大吉」と書いた御札を裏から見ても「立春大吉」と読むことができると思います。

「立春大吉」の御札には、このような話があります。

その昔、鬼が「立春大吉」の御札が貼ってある家の門をくぐったところ、ふと後ろを振り向くと、また「立春大吉」の字が目に留まりました。

すると、「ん?まだ門をくぐっていなかったのか?」と思い、鬼は門を出ていったということです。

鬼が門を出ていくイラスト

「立春大吉」の御札には、厄災が入ってくるのを防ぎ、一年間無事に過ごすことができる効果があると言われています。

立春の食べ物とは

立春には、「立春」が名前についた食べ物がたくさんありますので、ご紹介します。

立春大吉豆腐(りっしゅんだいきちとうふ)

豆腐の写真

立春と前日の節分には、「豆腐」を食べる風習があり、立春に食べる豆腐のことを『立春大吉豆腐』と言います。

古来より、真っ白な豆腐には邪気を払う力があると考えられており、
節分に食べると罪や穢れを払う
立春に食べると清められた体に幸せを呼び込む
と言われてきました。

節分には大豆を撒(ま)いて鬼を追い払う風習がありますが、これは「豆(まめ)」が「魔滅」に通じるとして、魔滅=鬼を滅する食べ物と考えられてきたことが由来とされています。

そして、大豆から作られた豆腐にもその効果があるとされ、特に「白色」をしている豆腐には悪いものを浄化する霊力が宿っていると考えられたことから、節分と立春に豆腐を食べて厄払いをする風習が生まれたのだと言われています。

ちなみに、豆腐を食べる際には醤油で白色を染めてしまわないよう、塩で食べるようにしたほうが良いそうですよ。

立春大福(りっしゅんだいふく)

豆大福の写真

昔から、「小豆」の赤色には厄除けの力があると言われ、「餅」はお祝い事や特別な日に食べる縁起物とされてきました。

また、立春には「立春大吉」と書いた御札を貼る風習があることから、その言葉にあやかり、大福を「立春大福」として売るようになったのが「立春大福」の始まりと言われています。

「立春大福」として販売されるものには、黒大豆をあしらったものや、ヨモギを練り込んできな粉をまぶしたもの、イチゴを使ったものなど様々あるようです。

立春大吉餅(りっしゅんだいきちもち)

三重県伊勢市の有名和菓子店『赤福(あかふく)』では、毎月1日にその月にちなんだ「朔日餅(ついたちもち)」を発売しており、2月には「立春大吉餅」として黒大豆と大豆を使用した二種類の豆大福がセット販売されています。

毎月1日に神社に参拝に行くことを「お朔日参り(おついたちまいり)」と言い、赤福では、伊勢神宮に「お朔日参り」に来られる参拝者に向けてのおもてなしとして、1978年(昭和53年)に「朔日餅」を売り出したのが始まりとされています。

「朔日餅」は、1日限りの限定商品となりますので、購入希望の方は予約して購入するのがおすすめです。

『赤福』朔日餅の予約方法はこちら

立春生菓子(りっしゅんなまがし)

桜餅の写真

立春の朝に作られた生和菓子を『立春生菓子』と言います。

生菓子は日持ちがしませんので、そのほとんどがその日に作られた「朝生菓子」になるわけですが、立春の朝に作られたものは、立春大福と同様に穢れを払い福を呼び込む縁起物として食べられてきたようです。

立春生菓子は、見た目から春の訪れを感じさせてくれるものも多く、「桜餅」や「うぐいす餅」、椿の葉で道明寺粉で作った餅を挟んだ「椿餅(つばきもち)」が有名です。

椿餅はつぶつぶとした食感が特徴で、関西の桜餅と似ています。

福茶(ふくちゃ)

福茶とは、新年の朝に初めて汲(く)んだ水で入れる少し変わったお茶のことで、「大豆(3粒)・塩昆布・梅干し(1つ)・山椒(さんしょう)」を湯呑(ゆのみ)に入れ、お湯やお茶を注いで作ります。

新年の朝、最初に汲んだ水は「若水(わかみず)」と呼ばれていて、若水を飲むことで1年の邪気を払うことができ、若返る力があると考えられてきたようです。

元々は、新しい年の始まりとされる「立春」に飲まれるものでしたが、1月1日が新年となってからは、「元日」に飲まれるようになり、新年を迎える前の厄払いとして「節分」や「大晦日(おおみそか)」にも飲まれるようになったとされています。

立春朝搾り(りっしゅんあさしぼり)

日本酒の写真

立春朝搾り」とは、立春の朝に搾ったばかりの『新酒』のことを言います。

「立春朝搾り」は、1998年(平成10年)に『日本名門酒会』によって始められたプロジェクトで、作りたてのお酒をその日のうちに味わってもらいとの思いからスタートし、当初は一蔵のみの参加であったそうですが、2021年(令和3年)には37都道府県44蔵で開催する行事に成長しています。

また、出来上がった原酒は地域の神社によってお祓いが行われるため、「縁起酒」として親しまれているそうです。

まとめ:立春は暦上の春のはじまり

うぐいす笛を吹く人のイラスト
  • 立春は二十四節気の一つで、毎年2月4日頃が立春となる
  • 2023年(令和5年)の立春は『2月4日(土)』で、期間としては『2月4日(土)~2月18(土)まで』
  • 立春は定期法で定められており、太陽黄経315度となる日のこと
  • 立春には、立春大吉と書いた御札を貼り、1年の厄払いをする風習がある
  • 立春には、立春大吉豆腐や立春大福、立春朝搾りといった飲食物がある

いかがでしたでしょうか。
立春は、かつて新年の始まりと考えられていたことから、春の到来と新年を祝う行事が行われてきたことが分かりました。

ちなみに、よく「暦の上では春ですが、まだ厳しい寒さが続きます・・・」などといった言葉が用いられますよね。

この「暦」というのは、二十四節気のことを指しています。

立春を迎えたとはいえ、2月上旬は真冬の真っ只中で、まだ春を実感できないことも多いと思います。

これは、二十四節気が中国由来の暦のため、日本の季節と比べてみると2週間ほどズレを生じてしまうことが理由です。

二十四節気と実際に感じる季節感は違うこともあり、あまり必要性を感じない方も多いかもしれませんが、現在も二十四節気に基づいて行われる風習は多いです。

二十四節気を知ることで、風習の意味を知るきっかけとなり、季節の移り変わりをより楽しむことができるかもしれません。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

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のすけ

ご覧いただきありがとうございます! 少しばかり私の紹介ですが、息子を育てる父親であり、会社員をしています。 父親として恥ずかしくないよう、皆様と一緒に日本文化について知識を深めていけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

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