皆さんは「小暑」という言葉をご存知でしょうか。
「小暑」という字から、少しだけ暑い日のこと?と思ってしまいそうですが、「小暑」は季節を表す言葉になります。
また、「小暑」を使った挨拶文などもありますので、例文で紹介したいと思います。
この記事では、
- 小暑の意味とは
- 2022年の小暑はいつ?
- 小暑の七十二候とは
- 小暑の食べ物
- 季語としての「小暑」の使い方
について解説・紹介していきます。
小暑とは?
まず、「小暑」は『しょうしょ』と読みます。
小暑は、「二十四節気(にじゅうしせっき)」の一つで、
『梅雨明けが近づき、この頃から暑さが強くなっていく季節』という意味があります。
二十四節気は、1年を24の季節で分けた暦で、旧暦では農作業の目安として活用されていました。
二十四節気については、下記の『二十四節気とは?』の記事で詳しく説明していますので、よろしければご覧ください。
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小暑はいつからいつまで?
太陽の動きを基にして定められる「定期法(ていきほう)」では、太陽黄経が105度となる日が「小暑」とされていて、
毎年『7月7日頃』が小暑となります。
また、小暑は期間としての意味もあり、小暑の次の節気が「大暑(たいしょ)」のため、
『小暑(7月7日頃)~大暑の前日(7月22日頃)まで』(約15日間)を表す言葉でもあります。
ちなみに、小暑は『夏』の季節の5番目の季節にあたり、
①立夏(りっか)
②小満(しょうまん)
③芒種(ぼうしゅ)
④夏至(げし)
⑤小暑(しょうしょ)
⑥大暑(たいしょ)
の順で夏の季節が巡っていきます。
【2022年】令和4年の小暑はいつ?
【2022年(令和4年)】の小暑は、
『7月7日(木)』です。
期間としては、
『7月7日(木)~7月22日(金)』までが小暑となります。
※大暑が7月23日(土)のため
小暑の七十二候とは
小暑は「二十四節気の一つ」になりますが、二十四節気の一つの季節をさらに細かい3つの季節に分けた『七十二候(しちじゅうにこう)』と呼ばれる暦もあります。
二十四節気は、中国から伝わったものをそのまま使用している暦ですが、七十二候は日本の気候に合わせて何度か作り変えられた暦になるため、日本の季節と合った暦となります。
それでは、小暑の期間にあたる七十二候3つを見ていきましょう。
温風至(あつかぜいたる)
小暑の「初候(しょこう)」(7月7日頃~7月11日頃)にあたる『温風至(あつかぜいたる)』は、
「暖かい風が吹いてくる頃」という意味があり、本格的な夏の到来を表しています。
ちょうど七夕と重なることが多く、夏の風物詩であるセミが鳴き始めるのもこの頃からのようです。
また、夏に送る『暑中見舞い』は「温風至(小暑)」から出し始め、立秋の前日(8月7日頃)までに出すのがマナーとされています。
蓮始開(はすはじめてひらく)
小暑の「次候(じこう)」(7月12日頃~7月16日頃)にあたる『蓮始開(はすはじめてひらく)』は、
「蓮の花が咲き始める頃」という意味があります。
蓮は泥の中で育ちながらも清らかで美しい大輪の花を咲かせることから、仏教の世界では泥を煩悩があふれる世界(俗世)、泥に汚れずまっすぐに咲く蓮の花を悟りの世界に例え、蓮の花は仏教の象徴とされています。
蓮の花の命は短く、3日ほど開いたり閉じたりを繰り返した後、4日目には開ききって散ってしまうそうです。
ちなみに、『蓮は泥(でい)より出(い)でて泥(でい)に染まらず』ということわざもあり、この言葉には「どんな劣悪な環境であっても、それに染まらずに清く正しく生きる」という意味があります。
鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)
小暑の「末候(まっこう)」(7月17日頃~7月21日頃)にあたる『鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)』は、
「鷹のヒナが巣立ちに向けて飛び方を覚える頃」という意味があります。
※「たかすなわちがくしゅうす」・「たかすなわちわざをなす」とも言います。
鷹と言えば、昔から「オオタカ」を指すことが多いようです。
オオタカは4月中旬~5月上旬頃に産卵し、卵からヒナが生まれるまで約40日かかるため、5月下旬~6月中旬頃にヒナが誕生します。
ヒナが大きく成長し、巣立つまで35日~45日かかるので、6月下旬~7月全般頃が巣立ちとなりますが、巣立ち後も一週間程度は巣に戻り、親鳥からエサをもらうのだそうです。
ちなみに、昔は鷹を調教して獲物を狙う「鷹狩り」が戦国武将の間では娯楽として楽しまれており、戦の練習や足腰を鍛えるための目的もあったと言われています。
小暑の食べ物
小暑の時期とちょうど重なる7月7日の七夕(七夕の節句)には、「そうめん」を行事食として食べる風習がありますが、そうめん以外の食べ物や旬を迎える食材もありますのでご紹介します。
七夕にそうめんを食べる理由については下記の「織姫と彦星の神話とは?」の記事で紹介していますのでよろしければご覧ください。
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ちらし寿司
かつて七夕は、「七夕の節句(しちせきのせっく)」という祝日となっていましたので、お祝い事の際に食べられる「ちらし寿司」も七夕にはよく食べられています。
ちらし寿司にはたくさんの具材がのっていますが、その具材には次のような意味が込められているのをご存知でしょうか。
- 海老・・・背中が曲がるまで長生きしますように。
- れんこん・・・将来の見通しがききますように。
- 豆類・・・健康で、まめに働けますように。
- イクラ・・・子孫繁栄しますように。
- ごぼう・・・長くしっかりと根を張ることから、家が繁栄しますように。
- 人参・・・赤色は厄除けの色とされており、吉事に使用されます。
このように、具材の一つ一つに意味が込められていますが、「寿司」自体が「寿(ことぶき)を司(つかさど)る」と書くことからも縁起の良い食べ物とされています。
夏野菜
小暑の時期は、夏野菜が旬を迎えます。
小暑頃の主な夏野菜としては、下記のものがあります。
- とうもろこし
- なす
- おくら
- ししとう
- 枝豆
- ゴーヤ
- スイカ
桃
一般的に桃の旬は、梅雨明け~お盆頃までと言われていますので、7月~8月中旬頃が旬となります。
桃の収穫量(令和3年)としては、1位:山梨県・2位:福島県・3位長野県・4位山形県・5位和歌山県となっており、この5県で全国の8割を占めるほどです。
桃の種類は大きく分けると、『白桃系(はくとうけい)』・『黄桃系(おうとうけい)』に分けられますが、白桃に「橘早生(たちばなわせ)」を交配して生まれた『白鳳系(はくほうけい)』という品種もあります。
白鳳系は、白桃に比べて果肉に赤みがあり、柔らかく、果汁が豊富で酸味が少ないのが特徴です。
上品な甘さが好みという方は、白桃系よりも白鳳系のほうが優しい甘みでオススメですよ。
鱧(はも)
鱧(はも)は、ウナギ目ハモ科に分類される海水魚で、高級魚として知られています。
ウナギ目に属する魚には血液にイクシオトキシンという毒素を含んでいるため、口にすると下痢や吐き気などの症状を引き起こしたり、目に入ると結膜炎を引き起こしたりする恐れがあるため、さばく際には十分気をつけなければなりません。
60℃以上の温度で5分ほど加熱することで毒素が不活性化するため、加熱して食べるのが基本となります。
鱧は、小骨が全身にあるため「骨切り」が必要となり、繊細な包丁裁きによって美味しくいただくことができます。
鱧の身は柔らかく、ぷりぷりとした食感が楽しむことができ、味は淡白であっさりとしているので、上品な料理にピッタリです。
ちなみに、京都の「八坂神社(やさかじんじゃ)」の祭礼として7月1日から1ヶ月間行われる『祇園祭(ぎおんまつり)』は、別名「鱧祭(はもまつり)」と言われています。
なぜこのように呼ばれているのかというと、祭り期間中に瀬戸内海で捕れた旬の鱧を使った料理で客人をもてなしていたことから、このように呼ばれるようになったそうです。
時候の挨拶としての「小暑」の使い方
小暑を「時候の挨拶(じこうのあいさつ)」として用いる場合は、小暑の期間である『7月7日頃~7月22日頃』に用いることができます。
時候の挨拶とは、手紙の最初に書く季節を表す書き出しの挨拶のことです。
時候の挨拶に「小暑」を用いると、
『だんだん暑さが増してくる(本格的な夏が始まる)季節になりましたね』という意味の挨拶になります。
それでは、時候の挨拶としての「小暑」の使い方を例文で紹介します。
書き出しの挨拶【例文】
- 小暑の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
- 小暑の折、いよいよ夏の暑さも本番となりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
- 小暑のみぎり、蝉の声が日に日に賑やかになってきました。
- 小暑の季節、ようやく梅雨が明け、気持ちも晴れやかになるような青空が広がっております。
結びの挨拶【例文】
- 小暑の候、貴社ますますのご発展とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
- 小暑の折、夏風邪など召しませぬよう、どうぞご自愛くださいませ。
- 小暑のみぎり、ご家族の皆様と楽しい夏季休暇を迎えられますよう、お祈り申し上げます。
- 小暑の季節、これからさらに暑くなりますが、冷たいビールで乗り切りっていきましょう。
俳句季語としての「小暑」の使い方
「小暑」は、俳句の季語としても用いられており、『晩夏(ばんか)』を表す「夏の季語」とされています。
二十四節気でいうと、
晩夏は『小暑(7月7日頃)~立秋(8月8日頃)の前日まで』(旧暦6月)を表します。
小暑を用いた俳句【例句】
それでは、「小暑」を用いた俳句をいくつか紹介します。
- 『部屋ぬちへ小暑の風の蝶ふたたび』
皆吉爽雨(みなよし そうう) - 『一本の細書キを購ふ小暑かな』
勝又一透(かつまた いっとう) - 『採血の跡黄味がかる小暑かな』
高澤良一(たかざわ よしかず) - 『小暑を経大暑を経たる老二人』
阿波野青畝(あわの せいほ) - 『骨拾ふ桂子夫人ら小暑たり』
萩原麦草(はぎわら ばくそう)
まとめ:小暑とは、梅雨が明ける頃の暑さがだんだんと増していく時期のこと
- 小暑は二十四節気の一つで、夏の季節の5番目
- 2022年(令和4年)の小暑は、「7月7日(木)」で、期間としては「7月22日(金)」まで
- 暑中見舞いは「小暑(7月7日頃)~立秋(8月7日頃)の前日まで」に送るのが一般的
- 小暑に旬を迎える食べ物は、夏野菜や桃、鱧(ハモ)などがある
- 時候の挨拶として「小暑」を用いる場合、「7月7日頃~7月22日頃まで」使用することができる
- 小暑は夏(晩夏)の俳句季語となる
いかがでしたでしょうか。
小暑は、梅雨が明け、本格的な夏へと入っていく目安となる季節ということが分かりました。
ちなみに、過去30年の梅雨明けの平均を見てみると、
沖縄は「6月21日頃」
九州・四国は「7月17日頃」
中国・近畿・東海・関東甲信は「7月19日頃」
北陸は「7月23日頃」
東北は「7月26日頃」
となるため、小暑の下旬頃が実際の梅雨明けと言えそうです。
沖縄は小暑に入る前に梅雨明けとなりますが・・・
小暑が終わると、厳しい暑さのピークである大暑を迎え、ちょうどこの頃に子供達は夏休みに入ります。
小暑は七夕頃から夏休みが始まる頃までと覚えておくと良いですね。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。