子供の頃、カレンダーを見て「祝日」があると学校が休みなので嬉しかったものです。
「祝日」は企業や国民がお休みする日となっていますが、「祭日(さいじつ)」という言葉も聞いたことはありませんか?
世間では「祝日」や「祭日」などと言われていますが、この2つの言葉にどのような違いがあるのかご存知でしょうか。
また、それぞれの祝日がどのような意味がある日なのかよく分からないという方も多くいらっしゃるようです。
そこで、この記事では、
- 祭日と祝日の意味と違い
- 祝日となった祭日一覧
- 「国民の祝日に関する法律」に定められている休日とは
- 【2023年】祝日・休日一覧カレンダー
について解説・紹介していきます。
祭日とは?
「重要な祭祀」とは、日本の神道において天皇が宮中で行う「宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)」のことを言います。
「祭日(さいじつ)」は、宗教儀礼の上で『重要な祭祀(さいし)を行う日』とされています。
「宮中祭祀」は、
『天皇による国家と国民の安寧(あんねい)と繁栄の祈りを捧げる儀式』のことで、この儀式が行われる日のことを「祭日」と言い、かつては祭日の一部が「国民の祝日」や「休日」として定められていました。
※「安寧(あんねい)」とは、社会が穏やかで平和なことを言います。
天皇が儀式を行う「祭日」の日は、国民にとっては「祝日」でもあったため、「祝祭日(しゅくさいじつ)」と総称して呼ばれることもあったようです。
現在は法律上『祭日』は存在しない
天皇が行う祭祀には、
天皇が自ら神様をお祀りする「大祭(たいさい)」と、皇室の祭祀を執り行う機関である「掌典職(しょうてんしょく)」が神様を祀り、天皇が礼拝を行う「小祭(しょうさい)」があり、これは『皇室祭祀令(こうしつさいしれい)』という法令によって定められていました。
しかし、戦後の昭和22年(1947年)に『皇室祭祀令』が廃止されたことにより、法律上「祭日」はなくなることになりました。
「祭日」が無くなった後は、新たに『国民の祝日に関する法律』が制定されることになり、一部の祭日が名前を変えて残っているものもあります。
つまり、昔は祝日=祭日ということだったけど、現在は天皇の祭祀と祝日は関係ないものとされているわけだね。
国民の祝日となった祭日
かつての「祭日」が、現在の「国民の祝日」として残っているものは次の7つがあります。
祭日名 | 期日 | 現在の祝日名 |
四方節 (しほうせつ) | 1月1日 | 元旦 |
紀元節 (きげんせつ) | 2月11日 | 建国記念日 |
春季皇霊祭 (しゅんきこうれいさい) | 3月21日頃 | 春分の日 |
天長節 (てんちょうせつ) | 4月29日 | 昭和の日 |
秋季皇霊節 (しゅうきこうれいさい) | 9月23日頃 | 秋分の日 |
明治節 (めいじせつ) | 11月3日 | 文化の日 |
新嘗祭 (にいなめさい) | 11月23日 | 勤労感謝の日 |
法律上は「祭日」(祝祭日)は無くなってしまいましたが、宮中祭祀は祝日とは関係のない天皇が私的に執り行う儀式(私事)として現在も行われています。
祝日とは?
「祝日」とは、簡単に言うと「おめでたい日」のことを言いますが、公的には
『国の歴史的出事や功績のあった人物を讃えて制定される記念日』のことで、正式には「国民の祝日」と言います。
「国民の祝日」は、祭日が廃止となったことにより、昭和23年(1948年)に新たに制定された『国民の祝日に関する法律』によって定められています。
ちなみに、『国民の祝日に関する法律』には、「国民の祝日」が「休日」となる旨も記されてあるため、「国民の祝日=休日」ということになりますが、祝日に『休み』という意味はありません。
あくまでも、祝日は「国民が皆でお祝いする日」という意味しかないということだよ。
「国民の祝日に関する法律」で定められている休日
法律に「国民の祝日が休日になることが定められている」と説明しましたが、法律で定められた「休日」としては次の3つがあります。
- 国民の祝日
- 振替休日
- 国民の休日
①国民の祝日とは
「国民の祝日」とは、『国民全員がお祝いをし、感謝をする日』のことです。
私達がよく耳にする祝日(休日)のことで、「元旦」・「成人の日」・「こどもの日」・「敬老の日」など年間16日の祝日が制定されています。
「祝日」には国旗を掲げた家や企業などを見かけることがありますが、旗を掲げることで、お祝いと感謝の意思を表す意味があります。
最近では旗を掲げる家庭は少なくなってきているようですが、以前は旗を掲げる日という意味で「旗日(はたび)」と言われ、多くの家庭で行われていました。
②振替休日とは
「振替休日」とは、「祝日」が日曜日と重なった場合に、翌日以降の日を「振替休日」として休みにする日のことを言います。
残念ながら土曜日は、平日と同じ扱いをされるので振替休日にはなりません。
③国民の休日とは
「国民の休日」とは、昭和60年(1985年)に導入された制度で、「祝日」と「祝日」に挟まれた平日を「国民の休日」として休みにすることを言います。
ちなみに、祝日以外の土日などの休日や、年末年始のお休みは『行政機関の休日に関する法律』によって定められた「休日」になります。
では、最後に2023年の「祝日・休日」の一覧と、「祝日」の意味を紹介します。
【2023年】年間の「祝日」一覧カレンダーと意味
令和2年(2020年)から「体育の日」は「スポーツの日」へと変わっています。
2023年(令和5年)の祝日カレンダー
祝日の名 | 日付 | 意味 | |
1月 | 元日 | 1/1(日) | 年の初めをお祝いします。 |
振替休日 | 1/2(月) | ||
成人の日 | 1/9(月) (1月の第2月曜日) | 大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年をお祝いし、励まします。 | |
2月 | 建国記念の日 | 2/11(土) | 建国をしのび、国を愛する心を養います。 |
天皇誕生日 | 2/23(木) | 天皇の誕生日をお祝いします。 | |
3月 | 春分の日 | 3/21(火) (毎年3月21日頃) | 自然をたたえ、生物をいつくしみます。 |
4月 | 昭和の日 | 4/29(土) | 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を振り返り、国の将来に思いを致します。 |
5月 | 憲法記念日 | 5/3(水) | 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期待します。 |
みどりの日 | 5/4(木) | 自然を親しみ、その恩恵に感謝して豊かな心を育みます。 | |
こどもの日 | 5/5(金) | こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかると共に、母に感謝をします。 | |
※6月は祝日はありません。 | |||
7月 | 海の日 | 7/17(月) (毎年7月の第3月曜日) | 海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願います。 |
8月 | 山の日 | 8/11(金) | 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝します。 |
9月 | 敬老の日 | 9/18(月) (9月の第3月曜日) | 多年に渡り、社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿をお祝いします。 |
秋分の日 | 9/23(土) (毎年9月23日頃) | 祖先を敬い、亡くなった人々をしのびます。 | |
10月 | スポーツの日 | 10/9(月) | スポーツに親しみ、健康な心身を培います。 |
11月 | 文化の日 | 11/3(金) | 自由と平和を愛し、文化をすすめます。 |
勤労感謝の日 | 11/23(木) | 勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合います。 | |
※12月は祝日はありません。 |
まとめ:祭日は無くなり、現在は祝日と言うのが一般的
- 「祭日」は、天皇が重要な祭祀を行う日とされ、国民の祝日となっていたが、『皇室祭祀令』廃止により無くなった
- 「祝日」は、正式には「国民の祝日」と言い、国の歴史的出来事や功績のあった人物を讃える記念日として制定されている
- 休日は、「国民の祝日」・「振替休日」・「国民の休日」などがある
- 「国民の祝日」は、国民全員でお祝いをし、感謝をする日とされている
いかがでしたでしょうか。
「国民の祝日」はかつて「祭日」や「祝祭日」と言われていたため、その名残で現在でも「祭日」や「祝祭日」と言われることがあるようです。
しかし、法律上「祭日」は無くなっていますので、「国民の祝日」や「祝日」というのが正しい言い方となります。
ちなみに海外では、祝日に国旗を飾って感謝することは常識となっていて、日本で国旗が飾られないことを不思議に思うそうです。
日本では、戦争の歴史や過激な愛国者団体と一緒に思われたくないなどの理由から、愛国心を表すこと自体が良くないことや気持ち悪いことと捉えられていることもあるようです。
けれども、旗を飾らないからといって愛国心が無いという訳ではなく、生まれ育った故郷や国を愛し、より良くなって欲しいと願う気持ちは皆が持っていると思います。
あまり祝日の意味を考えずに過ごす方も多いと思いますが、改めて祝日の意味を考えて過ごすのも良いかもしれません。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。