雨がやみ、晴れたところで大きな虹を見つけると、なんだか良いことの兆しのような気がして嬉しい気持ちになりますが、皆さんは虹の色と順番を正確に覚えていますか?
「7色というのは分かっているんだけど・・・」という方が多いと思いますが、実は7色というのは世界では当たり前ではないのです。
また、なぜ虹がカラフルになるのかや、虹ができるしくみについても分からないという方もいらっしゃると思いますので、記事内で分かりやすく解説していきたいと思います。
そこで、この記事では、
- 虹の色と順番(カラーコードも紹介)
- 世界の虹の「色と数」
- 日本で虹が7色とされる理由
- 虹にピンクが入っていないのはなぜ?
- 虹ができるしくみと色の順番の理由
- 2重の虹ができるのはなぜ?
- 虹の色と順番の覚え方
について解説・紹介していきます。
虹の色と順番
日本では通常、虹は『7色』で表されており、虹の配色順(上→下)に並べると下記のようになります。
虹のカラーコードも載せていますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
虹の色 (上→下) | カラーコード (HTML) | R | G | B |
①赤色 (あかいろ) | #FF0000 (red) | 255 | 0 | 0 |
②橙色 (だいだいいろ) | #FFA500 (orange) | 255 | 165 | 0 |
③黄色 (きいろ) | #FFFF00 (yellow) | 255 | 255 | 0 |
④緑色 (みどりいろ) | #00FF00 (lime) | 0 | 255 | 0 |
⑤青色 (あおいろ) | #00FFFF (cyan) | 0 | 255 | 255 |
⑥藍色 (あいいろ) | #0000FF (blue) | 0 | 0 | 255 |
⑦紫色 (むらさきいろ) | #8000ff (鮮やかな青紫) | 128 | 0 | 255 |
ちなみに、【緑(グリーン)】のカラーコードは『#008000(green)』ですが、光の三原色では【ライム】『#00FF00(lime)』が緑にあたります。
また、紫のカラーコードは『#800080(purple)』となりますが、実際の光の色と比べると赤みが強いため、光の色としては青みが強い『#5A4498(violet)』が光の紫に近い色とされています。
赤みが強い紫 | 青みが強い紫 |
#800080 (purple) | #5A4498 (violet) |
しかしながら、虹を描く際には、彩度・明度が高い色である
『#8a2be2(blueviolet)』や『#8000ff(鮮やかな青紫)』の紫色を使用するほうが、色合いにマッチします。
彩度・明度が高い紫 | |
#8A2BE2 (blueviolet) | #8000ff (鮮やかな青紫) |
パステルカラーの虹のカラーコード
パステルカラーの虹のカラーコードは、下記のコードをご参考ください。
パステルカラー 【1】 | R | G | B | パステルカラー 【2】 | R | G | B |
#FFB3B3 | 255 | 179 | 179 | #FFE6E6 | 255 | 230 | 230 |
#FFE4B3 | 255 | 228 | 179 | #FFF6E6 | 255 | 246 | 230 |
#FFFFB3 | 255 | 255 | 179 | #FFFFE6 | 255 | 255 | 230 |
#B3FFB3 | 179 | 255 | 179 | #E6FFE6 | 230 | 255 | 230 |
#B3FFFF | 179 | 255 | 255 | #E6FFFF | 230 | 255 | 255 |
#B3B3FF | 179 | 179 | 255 | #E6E6FF | 230 | 230 | 255 |
#D9B3FF | 217 | 179 | 255 | #F2E6FF | 242 | 230 | 255 |
世界では七色ではない?世界の虹の配色
日本では、『虹は7色』というのが一般的ですが、世界では違います。
虹の色は地域や時代によっても異なっており、昔の日本では3色や5色とされていた時代や、沖縄では『(赤・黒)または(赤・青)』の2色と言われていた時代もあったようです。
それでは、世界の国々の虹の色を見てみましょう。
※同じ国であっても地域によって色の数は違うこともあります。
虹の色の数 | 国 |
8色 (赤・橙・黄・黄緑・緑・青・藍・紫) | アフリカ(アル部族) |
7色 (赤・橙・黄・緑・青・藍・紫) | 日本・韓国・イタリア・オランダ・フランスの一部 |
6色 (赤・橙・黄・緑・青・紫) | アメリカ・イギリス |
5色 (赤・橙・黄・緑・青) (赤・黄・緑・青・紫) | 中国・フランス・ドイツ・メキシコ |
4色 (赤・黄・緑・青) | インドネシア(フローレス島)・東南アジア諸国 |
3色 (赤・黄・紫) (赤・黄・青) | 台湾(ブヌン族)・メキシコの一部・モンゴル |
2色 (赤・黒) | パプアニューギニア・南アジア(バイガ族) |
こんなにも色の数が違うんだね。
国や地域によって虹の色(数)が違う理由
国や地域によって虹の色の数が違う理由としては、『捉え方の違い』が挙げられます。
アメリカやイギリスでは「青」と「藍」を区別せず、濃淡が違うだけで同じ「青」と捉えているため、虹は6色とされています。
次に2色の虹で考えてみると、実際に2色の虹が存在するというわけではなく、暖色系は「赤」、寒色系は「黒」と『虹を明暗で捉えている』から2色となるのだそうです。
また、『色の表現の数』によって色の数に違いが出てくることもあります。
平安時代の日本では、「赤」・「青」・「白」・「黒」の4色しか色を表す言葉がなく、緑や紫はすべて「青」と呼ばれていたそうです。
現在でも、信号のことを「青信号」と言ったり、鮮やかな緑色の葉っぱを「青々」と表現したりするよね。
このように、民族の中で細かく色を表す言葉や文化がなければ、少ない色で表現されることもあるということになります。
しかしながら、正確には虹の色は7色や8色で構成されているわけではなく、様々な無数の色が混ざり合って美しいグラデーションを作っていますので、虹は何色かという定義はありません。
見る人によって虹が10色に見えることもありますし、一般的には7色とされていても、見え方によっては5色に見えることもあります。
捉え方それぞれ、文化それぞれということです。
日本で虹が7色なのはなぜ?
ところで、なぜ日本では「虹は7色」というのが一般化されているのかというと、イギリスの物理学者である『アイザック・ニュートン(1643年~1727年)』が虹は7色であると提唱したことが由来とされています。
ニュートンと言えば、落ちるりんごからヒントを得て「万有引力(ばんゆういんりょく)の法則」を発見したことで有名ですが、彼は光についてもたくさん研究をしてたそうです。
その研究の中で、太陽光の白い光は、屈折率の違う様々な色の光が合わさったものだということを実験で証明し、それまで虹は「赤・黄・緑・青・紫」の5色だとしていたものを「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7つの音階になぞらえて「橙・藍」を加えて7色だと発表したと言われています。
ニュートン自身、光(虹)は無数の色の集合体であり、何色と言い表せるものではないと認識していたようですが、7という数字が神秘的な数字とされていたことや、自然科学と音楽を結びつけて考えることが重要とされていた時代であったことが虹を7色とした理由とされています。
ニュートンが生きた時代は、音楽における「音階」は自然の法則で成り立っているものであり、哲学であったのです。
日本で虹が7色と教えられたのは明治維新から
日本で「虹は7色」と言われるようになったのは、西洋の文学を積極的に取り入れ始めた明治維新後の学校教育の場と言われており、欧米の自然科学の入門書に沿って「虹の色は7色である」と教えられたことが始まりとされています。
その後、アメリカでは、「藍色は青や紫との違いがさほど感じられない」という理由から、藍色をなくして6色にするべきという方針に変わっていきましたが、日本ではなかなか受け入れられずに「虹は7色」として定着していったと言われています。
虹にピンクが無いのはなぜ?入れるとするなら順番は?
ここまでご紹介してきたとおり、虹には「ピンク」が入っていません。
中には、「赤・橙・黄・緑・青・紫・ピンクの7色と思っていた」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
下記の図は、人の目に見ることのできる波長「可視光線(かしこうせん)」を表した図(スペクトル)になります。
※紫外線や赤外線は目に見えない光です。
図をご覧いただくと、ピンク色は可視光線の中に見つけることができませんね。
実は自然界にはピンクの波長は存在しておらず、赤の波長と紫(青)の波長を合わせて見ることで人間の脳が勝手に「ピンク」という色を作り出しているのだそうです。
虹は、上から赤・橙・黄・緑・青・藍・紫というようにグラデーションを描いて続いていますので、上にある赤と下にある紫は交わることがなく、ピンク色を虹に見ることはできないということになります。
虹にピンクを入れる時の順番は?
もし、ピンクを入れた虹を描くとするならば、「色相環(しきそうかん)」に合わせて赤の上、または紫の下にピンクを入れると違和感のない虹となります。
ピンクを入れる場合は、紫の下に配置されることが多いです。
また、赤の変わりにピンクを入れると可愛らしい虹になりますよ。
虹ができるしくみと色の順番の理由
ここまで虹の色について説明してきましたが、なぜ虹はアーチを描き、赤~紫のグラデーションとなるのでしょう。
まず、虹が発生するしくみについてですが、空気中にたくさんの水滴があり、そこに太陽の光が当たることで虹が発生します。
虹が見える条件としては、観測者の後方に太陽、前方にたくさんの水滴があることがポイントです。
虹ができる流れを分かりやすく解説すると、次のようになります。
- 空気中に漂っているたくさんの水滴に太陽の光が当たります。
- 水滴に当たった太陽の光は、水滴の中を通ります。
光は異なる物質の境界面で屈折(くっせつ)する性質があるため、空気中から水滴に入る際に屈折します。
しかし、波長は色によって屈折率が違うため、この屈折によって様々な色に分かれることになります。 - 水滴の中で様々な色に分かれたあと、分かれた光が水滴内で反射し、空気中に出ていく際に再び屈折して水滴から出ていくことになります。
- 太陽の光が水滴に入っていく角度を0°とすると、赤の波長が出ていく角度は約42°紫の波長が出ていく角度は約40°というように、それぞれの波長が決まった角度で出ていくことになります。
- このようにして水滴から分かれて出てきた光が、虹に見えるというしくみです。
光の屈折率は、赤が一番小さく(光が小さく曲がる)、紫が一番大きい(光が大きく曲がる)ため、水滴からでてきた光は上から「紫・藍・青・緑・黄色・橙・赤」の順で出てきます。
しかし、虹を構成している水滴を見てみると、一番上の水滴からは赤の光だけが目に届き、そのほかの色は頭上を通りすぎるため目には見えません。
同様に、水滴の位置が変わると違う色の光が1つだけ届き、そのほかの色は目には見えないため、上は赤、下は紫の虹が見えることになります。
※赤→橙→黄→緑→青→藍→紫の順に並ぶことでグラデーションに見えます。
ちなみに、太陽光線に対して虹が見える角度を「虹角」と言うよ。
虹がアーチになる理由
虹が赤から紫のグラデーションになるしくみについては上記の通りですが、ではなぜ虹はアーチ型になるのでしょう。
まず、太陽光線と観測者を結んだ延長線上に虹の中心となる「対日点(たいじつてん)」があり、対日点を中心として虹は円状に発生します。
観測者からは、観測者の目を頂点として、太陽光線から半径42°の角度で赤い光が見え、半径40°の角度で紫の光が見えます。
けれども、円を描いている虹の下側は地面に隠れてしまって見えないため、虹は円形ではなくアーチ状に見えることになります。
ちなみに、太陽が高い位置にあると虹は小さく見え、低い位置にあると大きく見えますが、太陽高度が42°以上になるとちょうど虹が地面に隠れてしまい、見ることはできません。
2重の虹ができるのはなぜ?色が逆の理由とは
通常、「虹」と言えば一つの虹を想像しますが、1つ目の虹の上にうっすらとした2つ目の虹が現れることがあります。
色がはっきりと見える下の虹は「主虹(しゅにじ・しゅこう)」、うっすらと見える上の虹は「副虹(ふくにじ・ふっこう)」と呼ばれています。
観測者からは、太陽光線に対し主虹は『約42°(赤)~約40°(紫)』の角度で見えますが、副虹は『約53°(紫)~51°(赤)』の角度で見え、上が紫、下が赤の主虹とは反対の虹となります。
なぜ副虹ができ、主虹と色が逆になるのかというと、太陽光線が水滴に入った時の光の進み方がもう一つあることが理由です。
主虹は反射が1回なのに対し、副虹は2回反射するため、分かれて出てくる色の順番が逆になり、色も反射によって弱くなるため主虹よりも薄くなります。
虹の色と順番の覚え方
虹の色は七色と分かっていても、順番や色を覚えるのが難しいという方には簡単な覚え方がありますのでご紹介します。
虹の色・順番は音読みのリズムで覚える
「①赤・②橙・③黄・④緑・⑤青・⑥藍・⑦紫」の7色は、音読みで読むと、次のようになります。
- 赤『せき』
- 橙『とう』
- 黄『おう』
- 緑『りょく』
- 青『せい』
- 藍『らん』
- 紫『し』
このように、「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し」と音読みにして覚えると、色と順番が覚えられるので大変オススメです。
また、子供向けに「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し」という歌詞が入った曲もありますので、メロディーと一緒に覚えると覚えやすいかもしれません。
ちなみに、下記の『うちゅうにムチュー』という曲は、『栄光の架橋』で有名な「ゆず」の北川悠仁(きたがわ ゆうじん)さんが作詞・作曲を行っています。
まとめ:虹は色の屈折率の違いから、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んで見える
- 虹が7色というのは日本の中だけの常識で、世界では6色や2色と言われることもある
- 虹を7色と提唱したのは、アイザック・ニュートン
- 虹にはピンク色は入っていない
- 虹は大気中の大量の水滴に太陽の光が当たることで見えるようになる
- 主虹での虹の見える角度(虹角)は、赤の光は約42°紫の光は約40°だが、光の反射の違いから副虹では赤の光は約51°紫の光は約53°となる
- 人の目に映る虹は本来円形をしているが、下側は地面に隠れてしまって見えないため、アーチを描いているように見える
- 虹の覚え方は、「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し」と音読みで覚えるとよい
いかがでしたでしょうか。
虹にははっきりとした色の境目がないことから分かるように、本来何色と言い表せるものではありませんが、日本では、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色とされていることが分かりました。
個人的には、青というより水色、藍というより青という気がしますが、人によって捉え方は様々でしょう。
ちなみに、虹の中には「白虹」や「赤虹」と呼ばれる虹も存在しています。
水滴の粒が半径0.025㎜以下の小さなものになると、光がそのまま分かれずに反射するため、白い色の虹に見えるのだそうです。
見た目が白いため「白虹(しろにじ)」と呼ばれていますが、霧や雲といった水滴からよく見られることから、「霧虹」や「雲虹」と呼ばれることもあります。
そして、夕焼けや朝焼けで太陽の光が赤みがかっていると、白虹が赤く見えることがあり、これを「赤虹」といいます。
また、虹と似た現象で「ハロ」や「環天頂アーク(逆さ虹)」という現象もありますので、ぜひ興味のある方は調べてみてくださいね。
ここまでご覧いただきありがとうございました。