皆さんは「総スカン」という言葉を耳にしたことはありますか?
また、聞いたことがあるという方でも、「総スカン」という言葉の語源は知らないという方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 「総スカン」の意味や語源
- 「総スカン」の使い方【例文】
- 「総スカン」の類語
- 「総スカン」の英語表現
について解説・紹介していきます。
総スカンの意味とは
「総(そう)スカン」とは、『全ての人から嫌われる』という意味があります。
また、「孤立してしまった状態」や、「誰からも相手にされない状態」を表す言葉としても用いられています。
総スカンの語源・由来とは
「総スカン」という言葉は、「総」=「全て」という言葉と、「スカン」=「好かん」という言葉が合わさって生まれた言葉とされています。
「好かん」という言葉は、主に関西や九州といった西日本で用いられている方言で、「嫌きではない(嫌い)」という意味があります。
また、1930年代頃に関西を中心に流行し、全国に広まったと考えられていますが、英語の「skunk(スカンク)」が由来という説もあります。
「skunk」が由来という説
英語の「skunk」という言葉には、臭いおならで有名なスカンクの他、俗語として「完敗」・「零敗」・「嫌なやつ」といった意味があります。
※俗語とは、あらたまった場所では用いられない言葉ですが、日常では一般的な言葉を言います。
例)「きもい」・「やばい」など・・・
強烈なにおいを放つスカンクには、どんな相手であってもしっぽを巻いて逃げ出してしまう(嫌われる)ことから、「完敗」などの言葉が生まれたそうです。
そのため、「スカンク」という言葉が「スカン」という言葉になり、「総スカン」と言われるようになったという説になります。
「スカン」がカタカナで書かれるのが一般的なだけに、「スカンク」が由来では?と思ってしまいますが、「好かん」という方言が由来という説の方が有力とされているようです。
総スカンの使い方や例文の紹介
では、「総スカン」の使い方について解説していきます。
「総スカン」という言葉を用いる場合、「総スカンを食(く)らう」や「総スカンにあう」といった言い方をするのが一般的です。
例文
- つまらないギャグを言ってしまったがために、家族の総スカンを食らうこととなった
- 思わぬ失態で、総スカンを食うことになろうとは思ってもみなかった
- ぶりっ子だからといって総スカンに合う友達を見ていて可哀想になった
- 自分が総スカン状態になったことで、初めて人の気持ちを考えるようになった
- 総スカンされるようになったのは、私がいつも横柄な態度をとっていたからだ
「皆に嫌われた」と感じた時や、「仲間がいなくて孤立した」と思った時に用いることができます。
総スカンは世間一般的に死語?
「総スカン」という言葉は、現在ではあまり使われなくなり、「死語」となってきているようです。
※「死語」とは、昔はよく使われていた言葉で、今では全く使われなくなった言葉のことを言います。
新しい言葉が作られたわけではありませんが、若者の間では「干される」や「ハブられる」といった言葉の方が一般的なようです。
「干される」とは
「干される」という言葉は、『仕事が与えられず放って置かれる』という意味で用いられています。
天日干しにされてカラカラに乾ききるというイメージや、生活ができなくなるという意味がある「顎(あご)が干上がる」などの言葉から「干される」という言葉が用いられるようになったと考えられています。
「顎が干上がる」という言葉は、「貧乏のために、食べ物を口にすることができず、顎を使うことがない」という喩えから作られたことわざです。
「ハブられる」とは
「ハブられる」という言葉には、『仲間はずれにされる』という意味があります。
「ハブる」の語源は、「村八分(むらはちぶ)にする」の略称という説や、「省く(はぶく)」が「はぶる」になった説、「葬る(ほうむる)」は「はぶる」とも読むことから「葬り去る」という意味で「はぶる」と言われるようになった説など様々あります。
総スカンの類語とは
「総スカン」と同じような意味のある類義語は次のような言葉があります。
- 四面楚歌(しめんそか)
周りが全て敵や反対者ばかりで、助けや味方がなく、孤立すること - 孤立無援(こりつむえん)
仲間・味方が誰もおらず、助ける者もいないさま - つまはじきにされる
忌み嫌われて排斥(はいせき)されること - 顰蹙(ひんしゅく)を買う
良識に反する言動をして人から嫌われ、さげすまれること - 仲間はずれ
仲間から外されること - 鼻つまみ者
嫌われて当然な人、軽蔑されている人のこと - 除け者扱い
仲間から遠ざけられる行為のこと - 蚊帳の外(かやのそと)
集団の中で、無視されたり、孤立したりすること
総スカンを英語で表現すると?
「総スカン」を英語にすると、次のように表現されています。
- 『hated by everyone』(総スカン)
- 『being hated by everyone』(総スカン状態)
まとめ:「総スカン」は「皆から嫌われる」という意味がある
- 「総スカン」は、「総」と「好かん」(好きではない)が合わさって生まれた言葉というのが有力とされている
- 「総スカン」は現在では死語になりつつある
- 「総スカン」の類語には、「つまはじきにされる」や「除け者扱い」といった言葉がある
いかがでしたでしょうか。「総スカン」という言葉は死語となってきてはいますが、皆から嫌われ、孤立した状態に対して用いる言葉ということが分かりました。
ちなみに、「総スカン」の反対の意味である「皆から好かれる」という意味の言葉としては、「脚光を浴びる」・「人気者」・「引っ張りだこ」といった言葉が挙げられます。
最近では、常に中心にいて、皆に好かれ、人から可愛がられている人のことを「人たらし」と呼ぶそうです。
本来「人たらし」という言葉は、「人をたぶらかしたり、騙したりする人」に対して用いられる悪い意味の言葉でしたが、現在では多くの人から愛され、可愛がられている人のことを表す良い言葉として用いられることの方が多いと言われています。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。