和食のおかずとして代表的なきんぴらごぼう。
ご飯にとても合い、あの歯ごたえがとても美味しいですよね!
そんな誰もが知っているきんぴらごぼうの「きんぴら」とは一体どういう意味があるのかご存知でしょうか?
そこで、この記事では、
- 金平ごぼうの「きんぴら」の意味
- きんぴらごぼうの名前の由来
- ごぼうを食べるのは日本だけ?
- 金平ごぼうと金平糖の関係
について解説・紹介していきます。
きんぴら(金平)とは?
きんぴらとは、
『千切りにした材料を油で炒め、砂糖・しょうゆ・みりんなどで甘辛く煮て唐辛子で辛みをきかせた料理』のことを言います。
また、あまり漢字のイメージは無いと思いますが、「きんぴら」は漢字で書くと『金平』と書きます。
ごぼうやれんこんだけでなく、人参・きのこ・セロリ・ズッキーニなど、様々なきんぴらが作られているようですよ。
珍しい食材をきんぴらにして色々食べてみたいですね。
きんぴらごぼうの意味・由来とは?
「きんぴらごぼう」は、そもそも江戸時代から作られるようになり、『坂田金平(さかたのきんぴら)』という人物名から名付けられたそうです。
ごぼうは歯ごたえがあり、固くて丈夫なイメージがありますが、「坂田金平」という人はとても強くて勇ましく、「きんぴらごぼう」のしっかりした歯ごたえや、唐辛子の強い辛さが「坂田金平の強さ」と通じることから『金平ごぼう』と名付けられたと言われています。
坂田金平(さかたのきんぴら)はどういうひと?
突然ですが、『坂田金時(さかたのきんとき)』という人物をご存知でしょうか。
昔話に出てくる「ま~さかりか~ついで金太郎~ ♪」と、童謡で歌われる金太郎と言えば分かる方が多いのではないでしょうか。
坂田金時は幼少の頃、『金太郎』と呼ばれていた人物になります。
そして、坂田金平とは、坂田金時(金太郎)の息子と言われているのですが、設定上の息子となっています。
坂田金平は江戸時代の人形浄瑠璃の中で作られた架空の人物になります。
金平は父の金時(金太郎)に似て、とても強く怪力の持ち主で、勇ましい人物であったとされていて、この坂田金平のイメージから強くて丈夫なものを「きんぴら」と呼ぶようになったというわけです。
ちなみに、あの甘い「金時豆」もお父さん(金太郎)の名前に由来していますが、「金時(金太郎)」の肌の色が赤かったため、濃い赤い色のものを「金時」と呼ぶようになったと言われています。
「宇治金時」も小豆が入っているからそう呼ばれているんですよ。
坂田金平が語源になった理由
金時は平安中期の武人で、源頼光の四天王の一人とされています。
そして、その架空の息子の金平を主人公にした京の平和を守るお話『金平浄瑠璃』(きんぴらじょうるり)が作られて大流行したと言われています。
『金平浄瑠璃』とは「金平節(きんぴらぶし)」の別称で、古浄瑠璃の流派の一つです。
「和泉太夫(いずみだゆう)」という人物が創った物語で、金平の武勇伝が題材とがなっているそうです。
怪力によって化け物を次々と退治する金平の荒々しさや豪快さが人気で、江戸歌舞伎の荒事芸にも影響を与えたと言われています。
大人気だった金平浄瑠璃から、人々は強いものや丈夫なものを「金平のようだ」と言い、強いものの例えとして「金平」が使われるようになったことで、ごぼうは歯ごたえが強く、精がつくと言われた食べ物であることから、「金平ごぼう」と呼ばれるようになり、『食べると金平のようになれる』と人々に好まれたそうです。
ちなみに、坂田金平の話が歌舞伎になった際、金平を演じる役者の髪型がごぼうの千切りのようにボサボサだったことから、「金平ごぼう」という名前がつけられたという説もあります。
ごぼうを食べる文化は日本だけ?
日本でごぼうは、きんぴらや豚汁、すき焼きなど様々な料理に使われていますが、実は海外ではほとんど食べられていません。
「ほとんど」と表現したのは、日本がかつて統治していた台湾と韓国では日本と同様に食べられている地域もありますが、原産地である中国では薬として漢方で使われていたり、また欧米では薬用ハーブとして使われるだけで食用とされてはいないからです。
つまり日本以外に料理の定番として扱われる野菜ではないということです。
海外では「ごぼう=木の根っこ」という認識で、独特の香りとえぐみが苦手な人が多いと言われています。
ごぼうは英語で『burdock』(バーダック)と言いますが、『burdock root(ごぼうの根)』(バーダック ルーツ)とも言います。
海外では日本のようにごぼうを食べる習慣が定着していないので、『burdock』 と言ってもピンとこないかもしれません。
金平ごぼう以外の「金平」がつく言葉
「金平ごぼう」以外にも、「金平」が付く言葉がいくつかありますので、ご紹介します。
金平糖
色とりどりのデコボコした砂糖菓子である「こんぺいとう」。
漢字では「金平糖」と書きます。
そうです、きんぴらという文字が入っていますね!
金平糖は16世紀頃に、ポルトガルから日本に入ってきたとされていて、このとき一緒に伝来したお菓子の中にはカステラもあったそうです。
ポルトガル語で球状のお菓子のことを「コンフェイスト」と呼ぶのですが、それに「金平」を当て字したものが金平糖の語源だと言われています。
当時は焼いた米に砂糖をまぶして作られていたそうで、現代の金平糖とは少し違いますが、固いお菓子なのは確かです。
金平縞(きんぴらじま)
太くて荒い縞柄の織物のことを言います。
金平足袋(きんぴらたび)
丈夫に作ってあり、もちのよい足袋のことを言います。
金平糊(きんぴらのり)
にかわを混ぜてねばりけを強くした糊です。
このように、様々な物に金平が使われていますね。
江戸時代に坂田金平がいかに人気だったかが分かります。
まとめ:金平ごぼうの「きんぴら」は、坂田金平(さかたのきんぴら)という架空の人物が由来だった!
- きんぴらとは、千切りにした材料を油で炒めて、砂糖、しょうゆ、みりんなどで甘辛く煮て唐辛子で辛みをきかせた料理のこと
- きんぴらごぼうは江戸時代から作られるようになった
- 坂田金時(金太郎)の架空息子、坂田金平は伝説上ではとても強く勇ましい人物とされていた
- 江戸時代になると、金平を主人公にした『金平浄瑠璃』が流行した
- 人々は強いものや丈夫なものを「金平のようだ」と言い、強いものの例えとして使うようになった
- 実はごぼうは海外ではほとんど食べられていない
いかがでしたでしょうか。
「きんぴら」という言葉は人の名前が由来となって付けられたことが分かりました。
ちなみに、きんぴらごぼうを作る時のポイントは、太さをそろえて切ることだそうです。
柔らかいものが好みならささがきにして、歯ごたえを楽しみたいなら少し太めの千切りにすると、切り方で味わいも変化しますよ。
きんぴらごぼうを食べて、坂田金平のように強靱な肉体になりたいものです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。