招き猫の由来とは?右手と左手の意味も解説!

招き猫の写真

近年では空前の猫ブームといわれていますよね。最近ではサンリオを含め、様々な猫グッズが売り上げを伸ばしていることからも分かるように、猫グッズを買い漁ったり、猫カフェなどで癒されたりしている人も多いのではないでしょうか。

この、昔から可愛い姿で愛されてきた「猫」ですが、お店でもときどき、手を挙げた猫を見かけますよね。そう、「招き猫」です。

招き猫は商売繁盛や、福を呼び込むためといったことで置いているイメージがあると思いますが、他にも何か意味はあるのでしょうか。

そこで今回は、招き猫の「起源と由来」「招き猫の種類」「海外での招き猫」について深く掘り下げて紹介していきます。

招き猫の起源と由来

ねずみを追いかける猫の絵

私たちが街でよく見かける招き猫は、室町時代から発祥したという説もありますが、主に江戸時代から商売繫盛の縁起を担いで商家などで飾られてきたそうです。

では、なぜ商売繁盛の縁起を担ぐようになったのかというと、昔の日本では、養蚕業で生計を立てている家庭が多く存在し、蚕はとても貴重なものでした。しかし、蚕を飼っていた建物は現代のようにしっかりとした建物ではなかったため、ねずみに蚕が食べられてしまう被害に悩まされていました。

そこで現れた救世主というのが、ねずみを捕ってくれる猫でした。養蚕業を行う家庭にとって猫は神様のような存在になり、とても大切にされてきたのです。

そのため、猫がいると商売が繁盛すると言われるようになり、福を招いてくれる存在として猫が崇められるようになりました。江戸時代初期にはまだ猫の数は少なく、猫を飼うことが難しかった人々が御利益にあやかろうと猫の絵を描いて店先に貼ったりしたことが招き猫の始まりと言われています。

また、1995年には「いつも手をあげて人間に福を招いてくれる招き猫に、年に一度くらい感謝する日があってもいいのでは」という思いから、招き猫愛好団体の「日本招猫倶楽部」によって9月29日が「招き猫の日」として制定されました。

ちなみに、なぜ9月29日かと言うと「来る(9)福(29)」の語呂合わせから決まったようで、この日には各地でさまざまなイベントが行われています。

また、招き猫の由来として他にも様々あるようですが、代表的な3つを紹介します。

豪徳寺(ごうとくじ)発祥説

東京都世田谷区にある豪徳寺は、1480年「弘徳院」という臨済宗の小さな庵から始まりました。

豪徳寺が招き猫発祥の地とされる由来は、江戸藩邸に暮らしていた大名 「井伊直孝」(1590〜1659年)と深い関係があります。

ある日のこと、直孝が鷹狩りに出かけた帰り道に小さな寺の前を通りかかると、門の前で一匹の白猫が手招きをしていたそうです。そこで直孝が猫に導かれて寺の中に入って休憩すると、突然空が曇り、雷雨になりました。

住職の愛猫「たま」のおかげで雷雨を逃れ、そのうえ住職のありがたい説法も聞くことができたと、直孝は非常に喜んだそうです。また、そのことに仏の因果を感じた直孝は、寺に多額の援助を行い、荒れていた寺を改築して井伊家の菩提寺としました。

白猫「たま」が亡くなったあと、住職は「たま」のお墓を建てて冥福を祈り、境内には「招猫殿」を建てて招猫観音を祀りました。そして、「たま」が右手をあげて招く姿を模した招き猫が作られるようになり、これが招き猫の由来のひとつと言われています。

今では豪徳寺にはたくさんの招き猫が飾られていますが、これはすべて願いが成就したお礼に参拝者によって奉納されたものになります。

豪徳寺では招き猫のことを「招福猫児(まねぎねこ)」と呼んでいて、その姿には小判はありません。これは、招き猫は福を得る機会は与えてくれるが、それ自体を与えてくれるものではないという意味が込められているからと言われています。

ちなみに、豪徳寺の白猫の話が由来になり、滋賀県彦根市の「国宝・彦根城築城400年祭」のイメージキャラクターとして「ひこにゃん」が生まれたそうです!

「ひこにゃん」の公式サイトはこちら

自性院(じしょういん)発祥説

東京都新宿区にある自性院(無量寺)は平安時代に空海が観音像を建てて供養したのが始まりと言われています。今では「猫寺」と呼ばれて親しまれ、「猫地蔵」でも有名なお寺となっていますが、そう呼ばれるようになったのには、説話があります。

室町時代(1477年)、江古田ヶ原の戦いで敵に追われた武将 「太田道灌(おおたどうかん)」が、戦いに敗れて道に迷っているところ、どこからともなく現れた黒猫が手招きをした様に見えたそうです。そこで、黒猫の後をついて行ってみると、自性院という寺にたどり着きました。

そこで一夜を明かした道灌は遭難の危難を免れ、後の戦いで大勝利を収めることができました。そのため道灌は、「これは猫のおかげだ!」とその黒猫を大切にし、黒猫が死んだ後は猫の地蔵尊を造って手厚く祀ったとされていて、これが招き猫の由来になったと言われています。

その猫地蔵尊は現在も自性院にあり、年に一度、二月の節分にのみ御開帳され、仮装行列や豆まきなどが賑やかに行われています。

今戸神社(いまどじんじゃ)発祥説

東京都台東区今戸にある今戸神社は、1063年源頼義、義家父子が京都の石清水八幡を勧請したのが始まりとされています。

今戸神社は平成版招き猫の発祥の地と言われていて、特に神社と猫を結びつけるものは存在していないとのことです。しかし、浅草寺や、浅草神社に由来する今戸焼きの招き猫の記述があるので紹介します。

江戸時代の末期、浅草に住んでいた老婆が生活が貧しくなり、仕方なく愛猫を手放したところ、その夜、夢枕にその猫がやってきて「私の姿を人形にしたら必ず福徳を授かるでしょう」と言ったそうです。老婆はその言葉通りに猫の人形を作り、浅草寺の参道で売ってみたところ大変人気になったというのが招き猫の由来になったと言われています。

招き猫が人形となったのは、今戸神社のある今戸の周辺で焼かれていた今戸焼が始まりと言われているそうです。

また、今戸神社は良縁を招くと言われ、イザナギノミコトとイザナミノミコトが御祭神となっているため、縁結びの神様として特に若い女性の参拝者に人気の神社となっています。

本殿には、二匹の招き猫の像があり、右が「ナミちゃん」左が「ナギくん」と呼ばれていて、願い事を考えながら頭をなで、携帯の待ち受けにすると願いが叶うと言われています。

招き猫の右手・左手・両手の意味とは?

店先にちょこんと飾られている招き猫ですが、どちらの手を挙げているのかまではあまり気にしませんよね。しかしながら、挙げている手にはきちんとした意味があるようです。

右手

右手を挙げる招き猫イラスト

お金を招く=「商売繁盛」と言われています。 

左手

左手を挙げる招き猫イラスト

人を招く=「千客万来」と言われています

左右の違いの理由は定かではありませんが、「ほとんどの人は右手でお金を扱うから」と言われています。

そして右手を挙げた猫がオス猫左手を挙げた猫はメス猫なんだそうです!

オス猫はねずみをよく狩るイメージから、収穫が増える(=お金が増える)と考えられたようで、メス猫は甘え上手なイメージから、お客を呼び込むと考えられたようです。

他に、珍しいですが両手を上げている招き猫も存在します。

両手

両手を挙げる招き猫イラスト

「お金」と「人」の両方を招く=「商売繁盛」・「千客万来」または逆に、「欲張りすぎてお手上げ状態になる」と言われることもあるようです。

後者の意味から、両手を上げた招き猫はお手上げしているように見えるので、開店祝いなどの贈り物としては、あまり喜ばれないこともあります。

手の高さの意味

ちなみに、招き猫があげている手の高さも意味があり、耳の高さより手を高く挙げている招き猫を「手長」、耳の高さより低く挙げている招き猫を「手短」と呼び、手が高いほど遠くの福や大きな福を呼ぶと言われています。

これから招き猫を見る時には、今までよりも注意して見るかもしれませんね。

招き猫の色によって変わるご利益とは

カラフルな招き猫の画像

招き猫と言えば、なんとなく白色や、白地に茶と黒の三毛猫のような模様のイメージがありますよね。しかし、1990年代の招き猫ブームに乗って、現代では様々な色の招き猫があり、それぞれに意味が違うそうなんです。

白・三毛「開運招福」

こちらは昔からあるオーソドックスな色で、全体的な福を招くと言われています。また、雄の三毛猫は3万分の1の確率でしか生まれないということもあり、その貴重さゆえ、昔から福を呼ぶ存在として招き猫のモチーフとなりました。

黒「厄除け」

黒い猫は夜でも目が見えると言われ、昔から「福猫」と呼ばれていました。黒猫は魔力があるとされ、魔除けや幸運の象徴とされています。

赤「無病息災」

昔の日本では、赤色は病の神様が嫌う色として信じられていたことに由来して赤い招き猫は病除けとして意味を持っています。

桃色「恋愛成就」

桃色の招き猫は恋愛運・結婚運を高めてくれる色とされていて、人との和を保つ力があるとされています。

青色「学業成就」

青色は知性を表す色とされていて、自制心や忍耐力を象徴する色とも言われ、青い招き猫は学業の向上の力があるとされています。

緑色「家内安全・交通安全」

緑色の招き猫は平穏無事を守ってくれる効果があると言われ、また、「学業成就」の受験生向けの合格招き猫も登場しています。

黄色「良縁金運」

黄色の招き猫はさまざまな良縁を招いてくれる効果があると言われ、金運を招くともされています。

紫色「健康長寿」

紫色は高貴な色とされ、名誉運の色ともされています。紫の招き猫は長寿、成功運などがあると言われています。

金色「金運招福」

金色は輝きが金運を招くとされ、金色の招き猫は財運を高めると言われています。

銀色「満願成就」

銀色の招き猫は才能開花や、不老長寿、金運を招くと言われています。

ヒョウ柄「票獲得」

ヒョウと票をかけた招き猫で、“票”を招くという意味があり、政治家に人気の招き猫になっているようです。

招き猫の持ち物と意味

縁起物を乗せた宝船の画像

招き猫を見比べてみると、何か特定のものを持っていたり身につけていたりすることに気が付きますね。招き猫の持ち物にもやはり意味があります。

首飾り

ほとんどの招き猫が、首輪や前かけ、鈴など、首回りなにか装飾を付けています。特に鈴は猫の居場所を知らせるための最も一般的なものですね。

江戸時代の大奥では女中たちに猫は可愛がられ、たくさん飼われていたようです。大奥の猫は逃げてしまわないよう目立つ赤い首輪とひもを付けられていました。そのことから猫に赤い首輪というのが一般的になり、招き猫にも赤い首輪が付いているのではないかと言われているようです。

前かけについてははっきりしませんが、お地蔵さまと同様に、感謝する気持ちから招き猫に前掛けがお供えされている姿になっているのではないでしょうか。

小判

招き猫の中には江戸時代に使われていた金貨の「小判」を持っているものもあります。当初、招き猫は何も持ってはいませんでしたが、縁起物としてのイメージを持ってもらうため、小判を持つようになったと言われています。

小判の額は千両、百万両と次第に額が増えていき、今では千万両の小判を持った招き猫が一般的となりました。今の価値に直すと、1兆3千億円と桁外れの金額でびっくりしますね。

鯉などの魚

鯉は富と繁栄の象徴とされています。また、鯛は縁起物として昔から人々に好まれてきました。「めでたい」という語呂合わせや、紅白の体の色が縁起がいいとされ金運上昇、厄除けなどの意味もあります。

打ち出の小槌(こづち)

打ち出の小槌は日本神話に登場する七福神の一人、大黒様の持ち物として有名ですね。様々な願い事や、夢が叶うと言われています。

ひょうたん

末広がりの形をしたひょうたんは、昔から幸運を運んでくるとても縁起の良いものとされてきました。除災招福や、厄除けの効果があるとされています。また、果実が鈴なりになる様子から、子孫繁栄などの意味もあります。

以上に挙げたものが一般的な招き猫の持ち物ですが、そのほかにもさまざまな縁起物を持った招き猫が登場しています。

海外にも招き猫は存在する?

海外の招き猫の画像

日本発祥の招き猫ですが、現代では海外でも人気だそうです。ネットで購入したり、来日した時のお土産品として買って帰る方が多いそうです。

英語では「幸せを呼ぶ猫」とも訳される招き猫は、お守りとして親しまれています。

招き猫を英語で言うと「招く 猫」で「Beckoning cat(ベグニング)」となります。

最近では、「lucky cat(ラッキーキャット)」や「fortune cat(フォーチュンキャット)」でも通じるようになってきました。

通常、招き猫の手のひらは正面を向いていますが、この向きだとアメリカでは「あっち行け」の意味になってしまうとのこと…。そこで海外の方向けに、手のひらが反対を向いた招き猫や、青い目をしたもの、また小判ではなくドル箱をもったものも作られているそうです!ヒョウ柄や青い目など本当に色々な招き猫があるので面白いですね。

まとめ:招き猫は江戸時代から、商売繁盛の縁起物として置かれるようになった。

招き猫 イラスト
  • 元々は猫にねずみを駆除してもらおうという考えから、猫が住みついた家は商売繁盛につながり、福を呼ぶと言われるようになった。
  • 猫が貴重だった時代、その代わりとして猫の絵を描いて店に貼ったりしたことが招き猫の始まりと言われている。
  • 右手を挙げている招き猫はお金を、左手を挙げている招き猫は人を招くという意味がある。
  • 様々な色や持ち物があり、それぞれに意味がある。
  • 英語では「Beckoning cat」や、「lucky cat」と訳され親しまれている。

招き猫は商売繁盛、千客万来というご利益のためだけでなく、今ではデザインも豊富になり、その可愛らしい姿からインテリアとしても飾られています。是非、街で招き猫を見かけた際にはいろいろチェックしてみて下さいね!

ここまでお読みいただきありがとうございました。