ししおどしとは?意味や由来、音について徹底解説!

ししおどしの写真

皆さんは、「ししおどし」という言葉を耳にしたことがありますが?

名前はあまり聞き覚えがないかもしれませんが、写真や実物を見ると「日本庭園や旅館などで見かけたことがある」という方も多いと思います。

等間隔に訪れる竹筒が石を叩く透き通った音と、ちょろちょろと流れる水の音色で癒しをもたらしてくれる「ししおどし」ですが、本来の役割は癒しとは全く関係がないものだったようです。

そこで今回は、

・「ししおどし」の意味や由来
・「ししおどし」の仕組み
・「ししおどし」の動画や作り方
・購入できる「ししおどし」
・「ししおどし」と「こけおどし」の違い

について解説・紹介していきます。

ししおどしとは?

鹿の写真

「ししおどし」は、現在「癒しの存在」として扱われ、その音色と動きから「見ていて落ち着きを感じる」といった方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、「ししおどし」を漢字で表記すると鹿威しと書き、元々は農作物に被害を与える鹿や猪(いのしし)などの野生動物を『大きな音で驚かせるため』に使われる道具だったとされています。

当初は「ししおどし」の音によって農作物を荒らしていた動物たちが近づかなくなったようですが、次第に自分たちに危害が及ばないと分かると、再び農作物が狙われ荒らされてしまったそうです。

なぜ「鹿」を「しし」と読む?

ちなみに、なぜ「鹿」と書いて「しし」と読むのかというと、昔は肉として狩猟していた動物を全て「しし」と呼んでいたことが由来となっています。

初めの頃は、鹿のことは「か」、猪のことは「ゐ」と呼び区別していたそうなのですが、次第に鹿のことを「かのしし・しし」、猪のことを「ゐのしし」と呼ぶようになったと言われています。

加えて「鹿」は、「しし」という言葉だけで「鹿」を表す言葉として用いられていたようです。

このことから、鹿を「しし」と読み、「鹿脅し」と呼ばれるようになったとされています。

ちなみに、「しか」という呼び方も、万葉集が作られた783年頃にはすでに用いられていた言葉となっていたようで、「かのしし」が廃語となった背景には、「しか」という言葉が一般的になったということが言えます。

ししおどしの由来とその歴史

詩仙堂

最初に「ししおどし」が作られたのは、京都の『詩仙堂(しせんどう)』という寺院だとされています。

「詩仙堂」は現在でも美しい日本庭園を残しており、1986年にはチャールズ皇太子や故ダイアナ妃も訪れたほどです。

「詩仙堂」は1641年(寛永18年)に、徳川家の家臣だった「石川丈山(いしかわじょうざん)」が隠居するために建てたとされています。

石川丈山像

石川丈山は『庭園の名手』と言われ、「詩仙堂」は丈山自身によって設計されたそうです。

そのため、ししおどしの誕生も1641年頃だと考えられていますが、はっきりとした年代は分かっていません。

「詩仙堂」は山の麓(ふもと)に建てられていたため、夜になると鹿や猪が頻繁に出没して困っていたことから、「ししおどし」が考案されたと言われています。

また、丈山にとって「ししおどし」の透き通った響きが隠居生活の慰(なぐさ)めにもなっていたようで、その後、丈山が手掛ける庭には「ししおどし」が設置されるようになったそうです。

そして、このことが由来となり、「ししおどし」が全国に広まったとされています。

ちなみに詩仙堂は、入場料を支払うことで中に入って見学することができます。詩仙堂は、史跡として国に指定されており、別名「丈山寺(じょうざんじ)」とも言います。

詩仙堂は季節によって大きく景色が変わり、加えて見応えもあることから、シーズンが変わる度に訪れるといった観光客も多くいらっしゃるそうです。

詩仙堂公式ホームページはこちら

ししおどしの仕組み

ししおどしの仕組みは、「ヤジロベエ」や「シーソー」に似ていて支点があり、重い方に傾く性質を用いて作られています。

ししおどしの音が鳴るまでの流れとしては、次のようになります。

一.水を流す

ししおどしの仕組みの図

竹の筒にちょろちょろと細く流れるように水を流します。

ここで勢いよく水を流してしまうと、水の勢いで竹筒が押されてしまい、上がってこられなくなったり、ペースが速くなったりするため、少しずつ流しています。

二.筒が傾く

ししおどしの仕組みの図

筒に水が溜まると、その重みで筒が傾き、溜まった水が筒から流れます。

なぜ竹筒が傾くかというと、石へ打ち付ける側に水がはいらないよう、前方付近に節(ふし)の部分をもってきたり、仕切り版を作ってあったりするからになります。

竹筒のおしり部分に水が入らないことで、水の溜まった前方部分だけが重くなり、竹筒が傾くようになります。

三.竹筒が元に戻り音が鳴る

ししおどしの仕組みの図

竹筒の水が空になると、竹が元の位置に戻り、下に設置してある石に当たることで、カコーンと大きな音が鳴ります。

この仕組みが繰り返されることで、綺麗な音を奏で続けるということになります。

ちなみに、この「ししおどし」の音が鳴る仕組みを、「添水(そうず)」と言います。

ししおどしの動画の紹介

ここでは、ししおどしに関する動画をご紹介します。

ししおどしの音色

こちらの動画は、ししおどしのわびさびが感じられる、何とも言えない癒し動画となっています。

ししおどしによって音色が様々ありますので、自分好みの音色を探してみると面白いですよ。

ししおどし作成動画

こちらの動画は、ししおどしの作り方まで紹介してくれています。

上の動画と「ししおどしの音」を聞き比べてみると、こちらは響き渡るような涼しい音色となっています。

お子さんの夏休みの工作や日曜大工として、思い出に残るししおどしを作ってみてはいかがでしょうか。

動画では分かりにくい方がいらっしゃるかもしれませんので、文章でも作り方について説明します。

ししおどしの作り方(自作)

まず始めに、「ししおどし」作りに必要なものを準備しましょう。

材料

  • (節3つ分くらいの長さのもの)1本
    ※節から節の長さが12~13㎝のものが綺麗な音が出ると言われます。
    竹の直径は6~7㎝が一般的なようですが、DIYの良いところは自分好みに作れるところですので、お好みの大きさを選びましょう。
  • 支軸用の竹串(または細い竹やその代わりとなるもの)
    ※5㎜~1㎝くらいの直径のものが良いかもしれません(ドリルで開けた穴に通る太さのものを選びましょう)
    竹を知人の山などに取りに行かれる方は、竹の太めの枝が利用できます。
  • 支柱用の竹2本または木材(土台に使うもの)〈さらし竹・女竹など〉
    ※ホームセンターで取扱っているところもあります。お好みの物を選びましょう。
    支柱の長さは、支える竹の半分くらいの長さで良いかもしれませんが、たたき台の石の高さがある場合は、それより高くしないとうまく設置できなくなってしまいますので、支柱用としての竹は長さがあるものを用意しておくと、後で調整が利きます。
  • 竹ひきのこ(ノコギリ)
    ※竹専用の方が、ささくれができる心配がなく、美しい仕上がりとなります。
  • 電動ドリル(穴を開けるためのもの)
    ※DIY商品を取り扱っているホームセンターなどでは、レンタルやお店のDIYコーナーで設置してあるところもあるようです。
  • たたき台の石
    ※石ではなく、竹筒で代用することもできますが、音色は石の方が良い音が出るようです。お庭に庭石のある方でしたら、ぜひその庭石を利用しましょう。
  • 支柱を固定するための板(支柱を土に埋めて固定しない場合)
    ※必ず必要なわけではありませんが、土に支柱を埋めて固定しない場合は、支柱の下に板を取り付けることで安定します。もし、板を取り付ける場合は、水に強く木材に使用できる耐水性接着剤も必要になります。

道具の紹介

実際に「工具を購入しよう」と考えている方もいらっしゃると思いますので、作成にオススメな工具を紹介します。

竹ひきのこ

こちらの商品は、「竹」をスムーズに切ることができ、切り口も美しく仕上げることができる「竹ひきのこ」になります。

滑りやすく切りにくい竹も、細かな刃がしっかりと竹をとらえます。刃の側面は、研磨仕上げされているため、くずがスムーズに外に排出されやすく、余計な力がいらない扱いやすいノコギリとなっています。

竹だけでなく、乾燥木材や果樹剪定、塩ビパイプなどにも使用できるため、「ししおどし」作り以外にも様々な用途があります。

こちらの商品は、24㎝・27㎝・30㎝の長さのラインナップがありますが、細かな作業を行うのには24㎝の長さのものがオススメです。

電動ドリル

こちらの商品は、お手頃価格で購入できる、コード式の電動ドリルです。

竹に穴を開けたり、ネジを締めたりと様々な用途で使用でき、鉄鋼8mm、木工なら21mmまでの穴あけが可能で、ドリルやネジ締めで使うドライバービットの交換も容易となっております。

長時間の使用では本体に熱を発生しやすいとの評価もありますが、日本メーカー製で、本製品にはプラス型ドライバービットと、サイズの異なるドリルビットが付属しており、大変コスパの良い商品となっております。

レバーを握る強さで回転速度を調整でき、ダイヤルでのトルク調整も可能ですので、不慣れな方でも問題なく使用することができる商品となっています。

こちらの商品は、DIY上級者やプロ向けのエントリーモデルとされる、充電式インパクトドライバーの紹介です。

コンパクトながら充電式で、プロの大工さんも使用するほど力が強く、効率よくネジの締め付けや穴開けをすることができます。

また、パワフルながらも女性でも扱いやすく、ピンクカラーなど5種類のカラーバリエーションがあることも嬉しいポイントとなっています。

「マキタ」の工具は過酷な環境でも壊れにくい設計となっており、モデルチェンジ後もアフターパーツとして取扱いがあるため、一度購入してしまえば10年以上使い続けられるような商品となっております。

作り方

では、「ししおどし」の作り方を説明していきます。
水を流す「かけひ」の作り方は今回紹介していません。

①まず「水受け」部分を作ります。節3つ分の竹を用意し、竹の先がとがるようにノコギリで斜めに切ります。

ししおどし作成図

②竹の支点となる場所を探します。竹のちょうど中心くらいを指で持ち、実際に水を少しずつ入れてみて、竹が動く様子を確認ながら支点の位置を定めます。

③支点の位置が決まったら、目印をつけてドリルで穴を開けます。この時、反対側まで貫通させようとすると、斜めになってしまう恐れがありますので、表と裏2回に分けて行うと失敗がありません。

④ドリルで穴を開けたら、これで「水受け」の部分は完成となります。

⑤次は、「支柱」を作成します。配置したい場所に作成した「水受け」を持っていき、実際に石を置いて、どの高さに設置したら良いかを調べます。
この時、水受けの後方の節部分が石に当るように配置すると、良い音が出ます。

ししおどし作成図

⑥高さを調べた後、支柱となる竹を配置する高さに合わせて切ります。
支柱は同じ高さのものを2本作成して下さい。

⑦支柱となる竹を2本作ったら、支点を通す穴をドリルで開けます。この時開ける穴は支柱の内側部分だけに作ります。
※支柱を木材で作成した方は、貫通させてもらって大丈夫です。

⑧穴を開けた「支柱」と「水受け」に軸を通します。この時、「支柱」と「水受け」の間隔が狭い方が竹が左右にブレるのを防いでくれますので、軸は図のような長さでカットします。

ししおどし作成図

⑨これで「ししおどし」の完成となりますが、支柱を板で安定させたい方は、支柱と土台となる板を接着剤で固定させて完成となります。

ししおどし完成図

購入できるししおどし

「庭にししおどしを設置したいけれど、自分で作るのはちょっと…」と思われている方は、既製品として販売されている「ししおどし」を購入するという方法があります。

合成竹のししおどし(楽天市場)

こちらの商品は、合成竹で作られた「ししおどし」になります。

素材は、AS樹脂で作られているため、天然竹と違い腐食しにくく長持ちするというメリットがあります。

また、水を流す「かけひ」とポンプが一緒になったセットも取り扱っていますので、水源の設置さえ行えばお手軽に「ししおどし」の設置ができ、音色を楽しむことができます。

ちなみに、「合成竹の音がどんな音か気になる!」という方のために、動画を貼っていますので、確認してみて下さい。

「こけおどし」と「ししおどし」の違い

「ししおどし」と似た言葉に「こけおどし」といったものがあります。

「こけおどしに乗る」などといった使い方をするのですが、そもそも「こけおどしが何のことか分からない」という方も多いと思います。

「こけおどし」は、漢字で書くと「虚仮威し」と書きます。
「こけおどし」の意味は、

  • 浅はかで、見えすいたうそで相手を脅すこと
  • 見せかけだけで中身のないこと

といった意味を持つ言葉となっています。

こけおどしの例文

では、「こけおどし」を使った例文を紹介します。

  • 『最近こけおどしの電話に騙されてお金を振り込んでしまった。』
  • 『ネットで良いと思って買ったところ、届いた商品はこけおどしのお粗末な商品だった。』

となります。

また、「こけおどし」の類語としては下記の言葉などがあります。

・空威張り(からいばり)・虚勢(きょせい)・浅はか(あさはか)・浅知恵(あさぢえ)・思慮が浅い(しりょがあさい)・子供だまし・見掛け倒し

ちなみに、他人をあざけることを「こけにする」と言いますが、そこに「怖がらせる」という意味の「脅し」を付けて、『こけおどし』が使われるようになったと言われています。

「ししおどし」と響きこそ似ていますが、まったく違う意味を持つ言葉ということが分かりました。

まとめ:ししおどしの由来は田畑を荒らす動物除けだった

ししおどしイメージ画
  • ししおどしは元々、害獣対策のために設置されたものだった
  • 現在では癒しの効果を求めて設置する人が多い
  • 「ししおどし」の仕組みのことを添水(そうず)と言う
  • 「こけおどし」は浅はかな見え透いた嘘で相手をだますことを言う

いかがでしたでしょうか。初めは害獣を追い払うために作られた「ししおどし」ですが、音色の心地良さから、人々を癒す存在として広く親しまれるようになったことが分かりました。

ちなみに北国では、冬になって水が氷るとともに音が消え、春になると音を奏で出すことから、ししおどしは四季を感じさせる風物詩にもなっていたようです。

最近では、ししおどしの完成品だけでなく、生竹などのDIYに使う材料も、インターネットで買うことができるようです。

また、地元の様々な情報を載せることのできる「ジモティー」では、無料で竹を提供してくれる方もいらっしゃるようなので、ぜひ竹をお探しの方は一度調べてみて下さい。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。