ビジネスの場でよく用いられる「先般」という言葉、皆さんは意味をご存知でしょうか。
また、先般の意味を知っていても、いつまで使える言葉なのか、先日とはどのような違いがあるかなど、よく使い方が分からないという方も多いようです。
そこで、この記事では、
- 先般の意味
- 先般はいつからいつまでを表す言葉?
- 先般の使い方【例文】
- 先般・先日・過日の違い
- 先般の類語・対義語
- 先般の英語表現
について解説・紹介していきます。
先般の意味とは?
まず、「先般」の読み方は『せんぱん』です。
先般には、「時間的な少し前のこと」を表す『この前』や『このあいだ』といった意味があります。
「先般」という言葉はやや堅い表現になるため、ビジネスの場で使用されることが一般的で、文書やメールなどで使用される言葉になります。
先般の漢字の意味
ところで、先般の漢字に意味はあるのかな?
うん!当て字ではなくて、ちゃんと漢字にも意味があるよ。
「先般」の漢字の意味を見てみよう。
先般の「先」の意味
「先(せん・さき)」という言葉には、下記のようなたくさんの意味がありますが、先般の「先」は⑦の『時間における少し前の過去のこと』を意味しています。
【先】の意味
- 空間における前方のこと。
例:この先に私の通った学校があります。 - 時間における未来のこと。
例:先を見越した行動が必要だ。 - 他より順序が早いこと。
例:先に宿題を終わらせてから出かけよう。 - 物の先端のこと。
例:枝の先にミノムシを見つけた。 - 行き着く目的地のこと。
例:送り先を実家に設定した。 - 交渉の相手方のこと。
例:午前中に取引先へ年始の挨拶に行く予定だ。 - 時間における少し前の過去のこと。
例:先ほど拝見いたしました。
先般の「般」の意味
「般(はん)」という言葉には、下記の意味があり、先般の「般」は②の『ある局面』を意味しています。
【般】の意味
- 同等の事柄・物事の種類のこと
例:一般(同じであること)・全般(ある物事の全体)・各般(いろいろ) - ある局面のこと
「ある局面」というのは、「様々に変わる状況の中のある状態」を表す言葉です。
したがって、先般の漢字には、『少し前の過去の、ある局面』という意味があります。
先般はいつからいつまでの期間を表す言葉?
先般は「少し前の過去」を表す言葉ということは分かったけど、どれくらい前までのことに対して使える言葉なのかな?
先般という言葉には、「いつからいつまで」という定義はありませんが、
一般的には『2、3日前~数週間前まで』のことに対して用いられることが多く、長くても『1~2ヶ月以内』のことに対して用いるのが良いと言われています。
しかし、数時間前のことや1日前のことに対しては先般は使用できませんので注意が必要です。
数時間前のことであれば、「先程(さきほど)」や「今しがた」、1日前のことであれば「昨日(さくじつ・きのう)」を使用するようにしましょう。
先般の使い方【例文】
それでは、「先般」の使い方を例文で紹介します。
- 先般の会議議事録を送付いたします。
- 先般はお忙しい中ご対応いただきまして、ありがとうございます。
- 先般の件でございますが、誠に恐縮ながら今回は見送らさせていただきたく存じます。
- 先般よりお願いしておりました申込書の提出期限が○月○日までとなっておりますので、お知らせいたします。
- 先般ご依頼いただきましたデータの復旧作業が終わりましたので、ご連絡申し上げます。
先般来の意味
ちなみに、「今般」に「来」の字を加えた『先般来(せんぱんらい)』という言葉もあります。
「先般来」は、『この前からずっと』という意味があるため、過去から現在まで続いていることについて使用することができます。
【例文】
先般来進めてまいりました業務改善計画の進捗状況について報告いたします。
先般・先日・過日の違いとは?
先般と似た言葉に「先日」や「過日」という言葉があるけど、違いはあるのかな?
先日の意味
「先日(せんじつ)」は、会話の中でもよく使用される言葉のため、耳にすることが多いのではないでしょうか。
「先日」には『比較的近い過去のある日』や『このあいだ』という意味があります。
先日も「いつからいつまで」という定義はありませんが、使用する期間としては、『直近で2、3日前~長くても1ヶ月前までの日』を表す言葉として用いられるのが一般的です。
「先日」と「先般」はほぼ同じ意味を持つ言葉ですが、先日は『少し前のある日』に重点を置くのに対し、先般は『少し前のある出来事』に重点を置くという違いがあります。
分かりやすく説明すると、「先日」は『あの日』、「先般」は『あの時』というような意味合いになります。
また、「先日」はあまり堅苦しすぎない言葉のため、会話の中でも使用されますが、「先般」はやや堅苦しい言葉になるため、会話ではほとんど使用されないという違いもあります。
過日の意味
「過日(かじつ)」は、『過ぎ去ったある日』という意味があり、「過去のある日」を表す言葉として主に文書やメールなどで用いられています。
「過日」も「先般」も過去を表す言葉になりますが、「先般」との違いは「言葉の使用期間」で、先般は長くても1~2ヶ月前の出来事に対して用いますが、「過日」は『数ヶ月前や数十年前の日に対しても使用される』というところです。
また、過日も「いつからいつまで」といった定義はありませんが、「過ぎ去ったある日」という『時の経過』を感じさせる言葉であることから、通常は『1ヶ月以上経過した日』に使用されることが多いという違いもあります。
伝えようとする「ある日」があまり経過していない場合、過日を用いると相手に違和感や大げさすぎる印象を与えてしまうこともありますので、1,2週間以内の場合は「先般」や「先日」を用いるようにしたほうが良いでしょう。
先般の類語
先程説明した、「先日」や「過日」も先般の類語となりますが、他にも「このあいだ」を意味する言葉がありますので紹介します。
- 「過般(かはん)」
- 「先頃(さきごろ)」
- 「先度(せんど)」
- 「先達て(せんだって)」
- 「何時ぞや(いつぞや)」
先般の対義語(反対語)は「今般」
先般の対義語は、「今般(こんぱん)」です。
「今般」は、最近始まったばかりの物事や、新たに決定したことを表す『今回』や『この度(このたび)』という意味がある言葉になります。
先般と同様に、こちらも畏(かしこ)まった表現として使用されています。
【例文】
今般のアンケート調査の結果を踏まえ、今後の方向性と具体的な方策を考えていく次第です。
先般を英語で表現すると?
先般を英語で表すと、次のように表現できます。
『recently』
「(つい)このあいだ」
『the other day』
「この前・このあいだ・先日」
まとめ:先般は、「このあいだ」や「この前」といった意味がある
- 「
先般 」は、少し前の過去の出来事を表す言葉で、ビジネス文書やメールなどで用いられる - 「先般来」は、「この前からずっと」という意味になる
- 先般は、早くて2、3日前から、長くても1~2ヶ月以内のある出来事に対して用いるのが一般的
- 「先日」は、早くて2、3日前から、長くても1ヶ月以内のある日に対して用いるのが一般的で、会話にも使用される
- 「過日」は、1ヶ月以上経過したある日に対して用いるのが一般的で、1、2週間程度の過去にはあまり用いられない
- 先般の類語は、「先日」や「過日」、「過般」などがある
- 先般の対義語は「今般」で、『今回』や『このたび』といった意味がある
いかがでしたでしょうか。
先般は、それほど遠くない過去のある出来事を表す言葉ということが分かりました。
「このあいだ」という言葉は、人によって感じ方が違いますので、2、3日前のことは「ついこのあいだ」や「つい先日」というように、「ほんの少し」という意味も持つ『つい』という言葉を付けると分かりやすいです。
また、前の月であれば「先月」、2ヶ月前であれば「先々月」という言葉もありますので、相手に伝わりやすい表現を心がけていきたいものですね。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。