皆さんは、「暦日」という言葉をご存知でしょうか?
あまり見聞きしない言葉のため、「暦日」の読み方や意味が分からないという方が多くいらっしゃるようです。
そこで、この記事では、
- 暦日の読み方と意味
- 暦日の計算方法
- 暦日・営業日・労働日の違いと数え方
- 休日・年次有給休暇は暦日での取得が原則?
- 暦日制と時間制の違い
- 暦日の類語・対義語
- 暦日の英語表現
について解説・紹介していきます。
暦日の読み方と意味
まず、暦日の読み方は、『れきじつ』です。
「れきび」や「れきにち」とは読みませんので注意しましょう。
暦日には、次のような意味があります。
- 暦(こよみ)の上での1日
※暦とは、いわゆるカレンダーのことです。 - 月日の経過
- 月日・年月
通常の会話などで「暦日」という言葉を耳にすることは少ないかもしれませんが、単に「暦日」といった場合、0時~24時を一つの区切りとする『カレンダー上の日数』を表す言葉として用いられることが多いです。
ちなみに、②の「月日の経過」という意味では、「歴日」と書かれることもあります。
暦日の計算方法
まず、暦日を単位とした数のことを「暦日数(れきじつすう)」と言います。
暦日数は、暦の日数で判断するため、1年間の暦日数はカレンダーの日数と同じ365日(閏年は366日)となります。
したがって、暦日数を考える場合、時間などは気にする必要はなく
『カレンダーの日数(土日祝日などの休日を含める)を数える』ことで暦日数をもとめることができます。
ちなみに、1ヶ月ごとの暦日数は次のとおりです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
31日 | 28日 (閏年は29日) | 31日 | 30日 | 31日 | 30日 |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
31日 | 31日 | 30日 | 31日 | 30日 | 31日 |
月ごとの日数は「
サムライは、漢字で書く場合「侍」または「士」と書くんだ。
「士」は、漢数字の「十」と「一」が組み合わさった字だから「11」を表す言葉として「サムライ(士)」が用いられるようになったと言われているよ。
ちなみに、サムライは刀を2本差していたことから、「11」は刀2本を表して「サムライ」という説もあるよ。
暦日・営業日・労働日の違いと数え方とは
そういえば、「営業日」という言葉もあるけど、暦日と営業日の違いは何かな?
営業日も暦日のようにカレンダー上の日数を数えたらいいの?
暦日は休日を含めた日数だけど、営業日は休日は含めない日数のことを言うよ。
あと、「労働日」との違いも理解しておくと良いね。
まず、暦日は『カレンダー上の日数(休日を含める)』のことです。
そして、営業日は『企業が営業している日数』を意味するため、
「暦日から企業の休日を引いた数」が営業日数となります。
24時を超える場合の営業日数の数え方
例えば、24時を超えて営業しているお店もあるけど、営業日数的には何日と数えたらいいのかな?
24時を超えて翌日まで営業している場合は、2暦日にわたる継続した業務として次の営業開始時刻までは1日と数えるよ。
24時を超え、2暦日にわたって営業を行っている場合は、翌日の日付になったとしても『1日の営業』とみなします。
例えば、営業時間が18時~翌3時までというお店の場合は、次の日を迎えたとしても営業日数は1日です。
そして、再び18時から営業が始まった時点で、2日とカウントします。
24時間営業のお店であれば、0時~24時までを1営業日と区切ることが多く、年中無休であれば暦日の日数と同じになります。
営業日数と労働日数の違い
営業日に対し、労働日数は「個人が働く日数」のことです。
労働日数には、①「所定労働日数」と②「実労働日数」があり、
①「所定労働日数」は、『予定されている労働日数』
②「実労働日数」は、『実際に労働した日数』
を意味しています。
例えば、土日祝日が休日の会社の場合、暦日から土日祝日を差し引いた日数が「営業日数」となりますが、「労働日数」は個人が働く日数ですので、有給休暇や欠勤、あるいは休日出勤をしたかによって営業日数よりも少なくなったり、多くなったりします。
当然、年中無休の会社であれば営業日数は365日(閏年は366日)のため、労働日数は営業日数よりも少なくなります。
ちなみに、労働日数を計算する場合、2暦日にわたる継続した業務に対しては1日と計算しますので、日付をまたぐ勤務の場合は労働日数を暦日で数えないよう注意が必要です。
2暦日をまたいだ場合の労働日数
残業や夜勤などで日付を超えて仕事をする場合には労働日数は2日とカウントするのかな?
暦日的には2日というのは正しいよ。
でも、労働日数としては『2暦日にわたる継続した業務』とみなされるから、日付を超えたとしても労働日数は1日ということになるんだ。
それじゃあ、よくドラマのワンシーンで、家に帰らず残業してそのまま翌日の勤務を迎えたなんてことがあるけど、その場合も継続している勤務として1日とカウントされるの?
その場合は、通常の勤務時刻になった時点で2日目の勤務とみなされるんだ。
ちなみに、残業代がつくのは翌朝の業務開始時刻前までということになるよ。
例えば、9時~18時まで(1時間の休憩含む)という勤務予定だった人が、残業により日付を超えてしまった場合や、20時~5時までといった夜勤で日付をまたぐ場合、どちらも暦日数としては2日となります。
しかし、これを労働日数で考えると、『継続して行われる勤務(業務開始から24時間まで)は1勤務とみなされる』ことから、日付を超えてしまったとしても、労働日数は1日として考えます。
休日や年次有給休暇は暦日単位での付与が原則
まず、「休日」は『労働をする義務がない日』のことを言い、
「年次有給休暇(ねんじゆきゅうきゅうか)」は、一定期間働いた労働者に対して与えられる「休暇日(きゅうかび)」のことを言います。
一般的に、年次有給休暇は略して「有休(ゆうきゅう)」や「年休(ねんきゅう)」と言われているよ。
年次有給休暇は『本来労働する義務がある日に労働を免除され、賃金を減らされることなく休むことができる日』です。
そして、基本的に年次有給休暇や休日は、「暦日単位」での付与が原則となります。
そのため、仕事が溜まっているからと残業を行い、休日に少しでも仕事を行った場合には、勤務終了後から次の勤務開始時刻までの時間が24時間以上空いていたとしても休日を取得したことにはなりません。
もし、少しの時間だけだからといって休日出勤を度々行っていると、『労働基準法(第35条)』に定められている「4週間の間で最低でも4日の休日を与えなければならない」という決まりに違反する恐れがあるため、企業は暦日での休暇を取らせる必要があります。
三交代制の場合は、休日は暦日単位でなくても良い
絶対に休日は暦日単位じゃないとダメなのかな?
24時間空いていればいいような気がするけど・・・
原則としては暦日単位だけど、もちろん例外もあるよ!
よく、24時間を8時間ごとの3つのシフトに分けた「三交代制」がとられている企業がありますが、その場合『休日は暦日単位でなくても良い』とされています。
しかし、交代制といっても、9時~翌日の9時まで(24時間)働いて、次の24時間は休みというような「一昼夜勤務(いっちゅうやきんむ)」の場合は暦日単位での休日しか認められていないので注意しましょう。
継続する24時間を休日とできるのは、次のような場合です。
- 〈8時間ごとの三交代制〉
シフトによる三交代制が就業規則で定められ、制度として運用されていること。
加えて、シフトの交代が規則的に定められており、勤務割表などでその都度決めることがない場合。 - 〈旅館業務〉
フロント係・調理係・仲番(なかばん)・客室係に限り、正午(12時)~翌日の正午(12時)までの24時間を含む継続30時間(当分の間は27時間)の休息が確保されていること。
加えて、休日に関する説明や時間帯が予め労働者に伝えられており、年間の法定休日のうち半分は、暦日単位での休日を確保することができる場合。 - 〈自動車運転者〉
トラックやタクシー、バスなどの運転業務の場合、連続30時間以上(タクシーは32時間以上)の休息であること。
また、1日おきに働く「隔日勤務(かくじつきんむ)」の場合は、連続44時間以上の休息であること。
暦日制と時間制の違い
そういえば、車をレンタルする時に料金の計算方法として「暦日制」と「時間制」があるみたいだけど、どちらがお得とかあるのかな?
借りる時間や日数によって違うから、実際に計算して比べてみるといいよ!
そのためにも、計算方法を理解しておこう。
レンタカーのお店やパーキングでは、お金を計算する方法として「暦日制」または「時間制」が採用されています。
簡単に説明すると、
「暦日制」は『暦日の日数で計算する方法』
「時間制」は『利用時間で計算する方法』
です。
暦日制と時間制の計算方法
例えば、下記のようなAレンタカーとBレンタカーがあったとします。
Aレンタカー | Bレンタカー | ||
時間制 | 暦日制(日泊制) | ||
6時間 | 3,500円 | 1日 | 5,000円 |
12時間 | 4,200円 | 2日目以降:1日あたり | 4,500円 |
24時間 | 5,300円 | ||
追加料金:1時間 | 650円 |
お店の営業時間はどちらも8時~20時までで、返却は営業時間内にしなければならないこととします。
実際、レンタカーの返却は『営業時間内まで』とされていることが多いから注意しよう!
車を営業開始時刻の8時よりレンタルした場合、使用した時間と日数で料金を計算すると、次のようになります。
Aレンタカー | Bレンタカー | |
6時間 (8時~14時) | 3,500円 | 5,000円 |
12時間 (8時~20時) | 4,200円 | 5,000円 |
24時間 (8時~翌8時) | 5,300円 | 9,500円 (日付が変わった時点で2日目の料金が発生しています) |
24時間+延長4時間 (8時~翌12時) | 5,300+(650×4) =7,900円 | 9,500円 |
24時間+延長6時間 (8時~翌14時) | 5,300+(650×6) =9,200円 | 9,500円 |
24時間+延長7時間 (8時~翌15時) | 5,300+(650×7) =9,850円 | 9,500円 |
24時間+延長12時間 (8時~翌20時) | 5,300+(650×12) =13,100円 | 9,500円 |
Aレンタカー・Bレンタカーで料金を計算してみると、Bレンタカーは暦日制であることから、16時間後の24時になった時点で2日目の料金が発生します。
そのため、Bレンタカーで車を24時間使用した場合では、Aレンタカーとの差が『4,200円』となり、金額的にとても大きな差がうまれてしまいます。
しかし、Bレンタカーは、9,500円となった時点で2日目の料金はそれ以上増加しません。
一方Aレンタカーは、24時間以降は1時間経過するごとに650円の追加料金が発生しますので、延長7時間となった時点でBレンタカーの金額を超えることとなり、延長12時間の場合だとBレンタカーよりも『3600円』多くなる計算になります。
このように、レンタカーを使用する時間の長さによって時間制が良い場合、暦日制が良い場合がありますが、24時間=1暦日と思ってしまうと思わぬ出費をしてしまう恐れがありますので、暦日の意味を間違えないよう注意が必要です。
暦日の類語・対義語は?
暦日は、月日の経過や暦上の一日のことを表すことから、次のような言葉が類語と言えます。
- 日数(にっすう・ひかず)
- 日にち
- 日付
- 日々(ひび・にちにち)
- 一日中
- 尽日(じんじつ)
- 終日(しゅうじつ)
暦日の対義語はありませんが、『土日祝日を除いた日』という意味では、「平日(へいじつ)」が当てはまります。
暦日の英語表現
「暦日」は、英語では次のように表現されています。
『calendar day』(暦日)
まとめ:暦日は、カレンダー上での1日を意味する言葉
- 暦日の読み方は「れきじつ」
- 暦日の計算方法は、カレンダーの日数(土日祝日を含める)を数えることで求めることができる
- 営業日は、各企業が営業している日のことであり、暦日から企業の休日を除いた日のこと
- 労働日は、個人が労働する日のことで、働き方によって営業日より増えたり減ったりする
- 休日や年次有給休暇は、時間ではなく暦日での付与が原則とされているが、例外もある
- 暦日の対義語はないが、土日祝日を除いた日という意味では「平日」が当てはまる
いかがでしたでしょうか。
「暦日」は、時間的な24時間=1日を表す言葉ではなく、「暦上の日(日数)」を意味する言葉ということが分かりました。
あまり「暦日」という言葉を使用する機会はないかもしれませんが、労務関係や暦日制を用いた料金システムなどで目にする機会もあると思いますので、意味を理解しておくと安心です。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。