ピースサイン(Vサイン)の意味や由来とは?日本で定番化した理由について解説

皆さんはいつ、どのような時にピースサインをしますか?
「写真を撮る時に、なんとなく皆がやっているからしている」という人や、「合格発表などの驚かせたい時に、言葉ではなく、ピースサインを作って見せる」という人など、様々ではないでしょうか。
ちなみに私自身は、いつから始めたのか記憶にないくらい昔から、写真を撮る時はピースサインをしていました。誰かに教えてもらったのか、誰かの真似をしたのかは覚えていませんが、写真を撮る時のポーズとしてお決まりになっていますね。
そんなピースサイン(Vサイン)ですが、海外では、写真を撮る時にする人はほとんどおらず、日本だけで定番化しているものだそうです。
今回は、ピースサインの始まりから、日本で写真を撮る時に定番化した理由、海外でのピースサインの意味について解説していきます。
ピースサインの意味とその由来
日本で写真を撮る時の定番化しているピースサイン(Vサイン)ですが、これはいつ、どのように生まれたものなのか気になりますね。
調べてみると、ピースサイン(Vサイン)の始まりとされているのは 大きく2つの説があるようです。
百年戦争説

当時「(1337年~1453年)百年戦争」という、王位継承を主張するイングランド(イギリス)とそれを良しとしないフランスの間で起きた戦いがありました。
百年戦争の中で起きた「(1415年)アジンコートの戦い」では、イングランド軍の弓兵隊は「ロングボウ」と呼ばれる、飛距離や貫通力に優れた長弓を使用して、フランス軍に対して圧倒的な成果を上げました。
このため、フランス軍はイングランドの兵隊を捕虜とした際には、二度と弓が引けなくなるように人差し指と中指を切り落とすということがあったそうです。
この出来事からイングランド軍の弓兵隊は、フランス軍に見せつけるように2本の指を立てて「ほら、切り落とせるものなら切り落としてみろ」と挑発するサインとして使用したのが由来になったと言われています。
ちなみにこの戦いでは、イングランド軍は大勝利を収めています。
しかし、実際のところ捕虜として捕まっていたのは貴族であり、身分の低い兵隊は捕まればすぐに処刑されるというのが普通であったため、これが由来だという信憑性は低いのではないかと考えられています。
もう一つVサインが広く使われるようになった説としては、第二次世界大戦(1939年~ 1945年)中にベルギーで行われた「V for Victory」キャンペーンが由来だと言われています。
「V for Victory」キャンペーン説

「V for Victory キャンペーン説」では、ピースサインはイギリスの公共放送局BBCで放送されていた「Radio Belgique」(ベルギーでのフランス放送)の責任者である「ヴィクトル・ド・ラブレー」が生み出したとされています。
ヴィクトルは、1941年1月14日の放送で第二次世界大戦においての”戦いの印”として、フランス語(ワロン語)で『勝利(Victoire)』、オランダ語(フラマン語)で『自由(Vrijheid)』の意味を表すサインとして、両方の頭文字「V」をとった「Vサイン」を掲げていこうとベルギー人に呼びかけました。
この「Vサイン」を群衆で行えば、占領者(ドイツ)への圧力となるだろうと呼びかけたのです。
すると、数週間のうちにチョークで書かれた「V」の文字がベルギーを始め、オランダ、フランスの北部の至る所に現れるようになりました。
このことを機に、BBCは「V for Victory」(勝利のV)キャンペーンを始め、1941年7月には、当時ドイツが占領していた国々全域に広まっていったとされています。
この時のイギリスの首相であったウィンストン・チャーチルも、このキャンペーンについて肯定的に述べ、自ら積極的にVサインをするようになっていったそうです。
平和を意味するピースサインとは

上記では、Vサインの始まりを紹介してきましたが、Vサインは「ピースサイン」とも呼ばれていますよね。
ピースはその名の通り『平和(Peace)』を表すサインとしてそう呼ばれているそうです。ではいつから、ピースサインと呼ばれるようになったのでしょうか。
これはベトナム戦争(1955年~1975年)に起因します。
当時アメリカ大統領であったリチャード・ニクソンが、ベトナム戦争における”勝利の印”として「Vサイン」を頻繁に使用していたそうです。
そのことから、彼のトレードマーク的行いとして人々に認知されていました。
しかし中には、ベトナム戦争に反対する抗議者達や、カウンターカルチャーの思想を持った若者も多くいました。
その間で”平和を表すサイン”として使用されるようになっていきます。
戦争のイメージのあるVサインをあえて利用した訳ですね。
そのVサインを掲げながら「ピース(Peace)」と声を出していたので、サインと言葉が結びつき、「ピースサイン(the peace sign)」として新たに広まっていくこととなったのです。
私自身、なぜ勝利を意味するVサインが、平和を意味するピースサインとしても使用されているのか不思議に思っていましたが、これでスッキリしました。
写真撮影でピースをするのが定番化した理由

今までピースサイン(Vサイン)の説明をしてきましたが、なぜ日本で写真を撮る時のポーズとして定着したのでしょうか。これにはある人のギャグが関係しているようです。
井上順さんからピースサインが流行

タレントの井上順さんをご存じでしょうか。彼は、1967年~1969年にかけて流行したグループ・サウンズである「ザ・スパイダースのメンバーの一人」として有名となった方です。
ちなみに、スパイダースのメンバーには同じボーカルとして堺正章さんも所属していました。
その後、タレント業でのコミカルな芸風が人気となり、俳優、コメディアンと活躍し、1972年のコニカミノルタ(当時はコニカ)のカメラのCMに井上順さんが起用され、アドリブで「平和でいこう、ハイピース!」とピースサインをしたのが最初の流行のキッカケとなったようです。
また、テレビ番組でのボケ役としての決めセリフとして、苦笑しながら(強く突っ込むなよ、平和にいこう)という意味で言う「ピース」がお茶の間に流行し、ベトナム戦争が終結するまで頻用されていました。
「ピース」の再ブーム
一度はベトナム戦争の終結と共に流行が廃れた「ピース」ですが、その後1980年頃から再びギャグのリバイバルとして今度は、顔の横でピースサインを作るようになり、再ブームとなりました。
それと共に、頬の横に両手でピースを作る「ダブルピース」まで登場し、楽しさや、喜びなどを表現するポーズとして日本人に定着していったようです。
この流行こそ、写真で「ピースサイン」がされるようになった要因となっているようです。
「ピースサイン」が流行する以前は、人差し指を頬につけるポーズや、両頬に人差し指をつけて顔をかしげる”ぶりっこポーズ”が若い女性の間で流行っていたみたいですよ。
近年では、人差し指と親指をクロスして作る指ハートや、頬の横に手のひらをあて撮る虫歯ポーズなど、プリクラや、インスタグラムが登場したことで飛躍的に種類が増えています。
海外でのピースサインの意味
日本では写真などで何気なくされている「ピースサイン」ですが、海外では指の形や、手の向きによって様々な意味を持つので注意が必要です。
特にギリシャでは、普通のピースサインも侮辱する意味になってしまうので要注意です。かつてギリシャでは、犯罪者に向かって2本の指で物を投げるということが行われていて、屈辱的な意味をもつサインとされているので、自らトラブルを招いてしまうことのないように気をつけて下さい!
手を裏返したピースサインの意味

ベトナム戦争をキッカケに1960年頃のアメリカやイギリスの若者を中心に広まった平和を意味する「ピースサイン」ですが、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、アイルランドでは、ピースサインの手のひらを内側に向けたポーズをする「裏ピース」というものがあり、これは軽蔑や、挑発の意味をする”中指を立てる行為”と同じような意味となります。
また、アメリカでは「裏ピース」は性的な行為を意味するサインとされていて、特に口の前で舌を出して行う「裏ピース」は女性器を舐めるということを表していて、非常に卑猥なサインとして嫌われているそうです。
日本では、若い女性の間で”可愛いピース”として裏ピースも普通に使用されていますが、海外の人たちから見るととても気分を害することになってしまいます。誤解を生まないためにも海外旅行に行く際などは気をつけて下さい。
他にもピースに似たハンドサインがあるので紹介しますね。
指をクロスしたピース

ピースサインの人差し指と中指をクロスしたサインです。これは、Finger crossed(フィンガークロス)と呼ばれていて「幸運を祈る」という意味があります。
クロスした指は十字架を表しているそうです。また、相手に見えないように背中側でフィンガークロスをすると「神様、嘘をつく私を許して下さい」という意味になり、「嘘がバレませんようにと幸運を祈る」という意味もあるようです。
指を曲げるピース

両手でピースを作り、指をクイックイッと2回曲げるサインをAir quotes(エア・クオート)と言います。
これはダブル・クオーテーション『 ” ” 』の意味で使用され、強く言いたいことを話す時に使われます。
また、ブラックジョークなどを言う時にも使われるそうです。
小指と人差し指のピース

小指と人差し指を立てたピースを「コルナ」と言います。こちらはイタリア語で”角”を意味する言葉で、このサインには悪運や邪視を祓う意味があり、悪魔のサタン崇拝とも関連性があると言われています。
また、日本では「メロイック・サイン」とも呼ばれていて、音楽のヘヴィメタルでよく使用されていましたが、現在ではロックの分野共通のサインとなっています。
こちらのサインはRock on (めいっぱいロックしよう)という意味で使われていて、ロックへの愛を表現していると言われています。
まとめ:写真のピースサインが定番化したのは、井上順さんがCM撮影時にアドリブで行ったピースサインがきっかけと言われている。

- ピースサインは元々Vサインと呼ばれ、百年戦争の時にイングランド軍の挑発のサインとして使用されたのが起源と言われている。
- 第二次世界大戦時、勝利と自由の印としてVサインを掲げる「V for Victory」キャンペーンが行われ、Vサインはヨーロッパに広がった。
- ベトナム戦争が起こり、戦争に反対する人達がVサインを作り、「ピース」と平和を叫んでいたことからピースサインと呼ばれるようになった。
- 海外ではピースサインの仕方で様々な意味になるため、気をつける必要がある。
- 楽しさや、喜びなどを表現するポーズとしてピースサインが定着したと言われている。
ピースサインの写真が撮られるようになって40年近くなりますが、いまだに続いている理由は、残念ながらはっきりと分かっていません。ピースのポーズで撮ると、なんだか可愛らしく見えて明るい印象になるからでしょうか。固すぎず、くだけすぎない感じが恥ずかしがり屋の日本人に合っているのかもしれませんね。
しかし、最近ではカメラの向上により、写真でピースサインをすると指紋が盗まれてしまう恐れがあるそうです。指紋認証など、便利になってきた一方で気をつけないといけないことも増えています。
ちなみに、アメリカの女性の間では、腰に手を当てて撮るポーズが綺麗に見えると昔から定番となっているようですよ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。