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無茶苦茶の意味や語源とは?滅茶苦茶との違いや類語、英語について解説

2022年2月22日

色々な表情の人のイラスト

皆さんは日常会話の中で、「今日は無茶苦茶忙しかった~」や「あそこのケーキ滅茶苦茶おいしかったよ」など、言ったり聞いたりすることがあると思いますが、「無茶苦茶」と「滅茶苦茶」に違いはあるのか疑問に思ったことはないでしょうか。

また、無茶苦茶・滅茶苦茶に「茶」の字が使われているため、「何かお茶と関係があるのかな?」と思う方も多いようです。

そこで、この記事では、

  • 無茶苦茶の意味や語源
  • 無茶苦茶の使い方
  • 無茶苦茶と滅茶苦茶の違い
  • 無茶苦茶の同義語・類語
  • 無茶苦茶の英語表現

について解説・紹介していきます。

無茶苦茶の意味とは?

疑問に思っている人のイラスト

「無茶苦茶(むちゃくちゃ)」という言葉には、次のような意味があります。

  • 物事の筋道(すじみち)が立たない様子
  • 乱暴に扱ったり、乱雑にしたりする様子
    また、乱雑した状態
  • 物事の程度が甚(はなは)だしい様子

①の「筋道が立たない」というのは、物事の筋道(道理)が通らなくなっている状態、つまり『理不尽(りふじん)なことや理解できない状態が生じていること』を意味しています。

③の「甚だしい」とは、一定の度合いをはるかに超えている様子を表す言葉です。

基本的に「無茶苦茶」は、悪い意味で用いられることが多い言葉になりますが、③の意味の場合には良い意味で用いられることも多くなってきています。

無茶苦茶の使い方【例文】

トイレットペーパーを買い尽くしていく人のイラスト

それでは、「無茶苦茶」の意味①~③に沿って使い方を例文で紹介していきます。

①物事の道筋が立たない様子【例文】

  • 遅刻した生徒の無茶苦茶な言い訳に、内容と遅刻の理由が噛み合わず、思わず笑ってしまった。
  • 明日中に納品という無茶苦茶な要望にもかかわらず、上司は二つ返事で引き受けてしまった。
  • 公平のためくじ引きで決めた配役に、なぜ娘が主役ではないのかと無茶苦茶なことを言ってくる保護者がいたそうだ。

② 乱暴に扱ったり、乱雑にしたりする様子・また、乱雑した状態【例文】

  • そんなに無茶苦茶に扱ったら機械が壊れてしまうよ。
  • 彼の無茶苦茶な運転のせいで、気分が悪くなってしまった。
  • 帰宅すると、部屋が無茶苦茶に荒らされていた。

③物事の程度が甚だしい様子【例文】

  • あんなに無茶苦茶入荷していた商品があっという間に無くなった。
  • 無茶苦茶歴史のある壺が祖母の家にあるらしい。
  • 彼女が世界的な成功を治めることができたのは、
    彼女が天才だったからではなく、無茶苦茶努力を惜しまない人だったからだ。

無茶苦茶の由来と語源

3つ並んだお地蔵様の写真

「無茶苦茶」は、「無茶(むちゃ)」という言葉を強めた言葉とされています。

そして、「無茶」には次のような意味があります。

  • 筋道が立たないこと・道理に合わないこと
  • 程度が度を外れていること
  • 知識(常識)がないこと

【例文】
無茶な願いだと思うが、聞いてほしい。
無茶をするにも程がある。

無茶(むちゃ)の語源

「無茶」という言葉の由来は諸説ありますが、仏教用語の『無作(むさ)』から生じた言葉ではないかと考えられています。

「無作」には、『人為的な働きのないこと(自然のまま)』という意味があります。

そこから、「無為に過ごすさま(自然のままにして干渉しない様子)・節度をわきまえない行動」などを表す『むさと』という言葉が生まれ、「ごちゃごちゃとして汚らしい・毛などが多くて乱れているさま」といった意味の『むさむさ』という擬音語なども影響し、「むちゃ」という言葉が生じたのではないかと言われています。

無茶苦茶はお茶と関係がある?

お茶と急須のイラスト

「無茶苦茶」という言葉には、「茶」の字が2つも入っているため、お茶と関係があるのでは?と思われがちですが、実は「無茶苦茶」の漢字は当て字とされているため、漢字に意味はありません

まめすけ

当て字ってどういうこと?

もともと「むちゃくちゃ」という言葉があって、後から「むちゃくちゃ」と読める漢字を当てはめたということだよ。

すずめ

「無茶苦茶」の漢字は、ただ同じように読める漢字を当てているだけの表記になるため、書く際には漢字ではなく『ひらがな』で書くのが理解しやすく、ふさわしいとされている言葉になります。

また、「むちゃ」の後ろに付く「くちゃ」という言葉は、
「むちゃ」の意味を強め、調子を整える役割をする語』になります。

「くちゃ」と同様に用いられている言葉としては、「めちゃくちゃ」や「むしゃくしゃ」、「はちゃめちゃ」などがあります。

無茶苦茶と滅茶苦茶(目茶苦茶)の違いとは?

ボロボロのになって草が生えた車の写真

「無茶苦茶」と似た言葉に、「滅茶苦茶(めちゃくちゃ)」という言葉がありますが、違いはあるのでしょうか。
※めちゃくちゃは、目茶苦茶と書かれることもあります。

滅茶苦茶の意味

「滅茶苦茶」には次のような意味があります。

  • 物事の筋道が全く立たないこと・後先を考えず物事を行うこと
  • どうにもならないほど壊れたり、乱れたりしている様子
  • 一定の程度、限度をはるかに超えていること

「滅茶苦茶」の意味からすると、「無茶苦茶」と「滅茶苦茶」はほぼ同じ意味と考えて良いようです。

実際に、例文の無茶苦茶を滅茶苦茶に入れ替えてみたとしても意味は同じになります。

しかし、「滅茶苦茶」には『どうにもならないほど壊れた状態』という意味もあるため、次のような使い方もできる言葉となります。

  • 大雪のせいで交通機関がストップし、旅行は滅茶苦茶になってしまった。
  • 大好きだった彼に裏切られ、私の心は滅茶苦茶になり、何も考えられなくなった。
  • ケーキを落としてしまい、滅茶苦茶になったが、味はむちゃくちゃ美味しかった。

「無茶苦茶」も「滅茶苦茶」もどちらも少しくだけた『話し言葉』になります。
目上の方に用いるビジネス用語としては避けるようにしましょう。

ちなみに、「滅茶苦茶」も当て字となっているため、漢字に意味はありません。

滅茶苦茶の語源

「滅茶苦茶」の「めちゃ」の由来も諸説あり、「むちゃ」が「めちゃ」へと変化したという説と、「度を超えてはなはだしい様子や、むやみやたらに」という意味の『めたと』という言葉が「めちゃ」になったという説があります。

しかし、こちらもはっきりとした由来は分かっていません。

ちなみに、「滅茶」には次のような意味があります。

  • 物事の筋道が立たないこと・わけのわからないこと
  • 程度が度を外れていること

【例文】
滅茶なことを言う子供には困るものだ。
滅茶感動すると評判の良いアニメがあるそうだ。

無茶苦茶の同義語・類語

無茶苦茶の同義語・類語には次のような言葉があります。

無茶苦茶の同義語

  • めちゃくちゃ(滅茶苦茶・目茶苦茶)
  • めちゃめちゃ(滅茶滅茶・目茶目茶)

ちなみに、「むちゃむちゃ」という言葉はありませんので、間違えないように注意しましょう。

無茶苦茶の類語

「無茶苦茶」の類語は、意味ごとに分けて紹介します。

① 物事の筋道が立たない様子の類語

理不尽・不条理・不合理・非合理・非論理的・辻褄(つじつま)の合わない・でたらめ・背理(はいり)・筋違い・ばかばかしい・頓珍漢(とんちんかん)・おかしい・非常識・支離滅裂

②乱雑または混乱する様子・乱雑した状態の類語

いい加減・でたらめ・ちゃらんぽらん・はちゃめちゃ(破茶滅茶)・しっちゃかめっちゃか・ごちゃごちゃ・混沌(こんとん)・雑然・蕪雑(ぶざつ)

③物事の程度が甚だしい様子

非常に・並外れて・桁違いに・度外れ・異常・凄(すさ)まじく・べらぼうに・とっても・物凄い・尋常でなく・大変・大層・でたらめ・法外・とんでもなく・恐ろしく・半端なく・めっちゃ(滅茶の意味を強めた若者言葉)

無茶苦茶の英語表現

無茶苦茶は、次のような英語で表現することができます。

unreasonableabsurd(不合理)』
ridiculous(ばかばかしい・おかしい)』
preposterous(非常識な・ばかげている)』
inordinate(過度の・法外な・無秩序な・混乱した)』
undue(過度の・甚だしい)』
chaos(混沌・無秩序・混乱)』
messy(乱雑・ひどく散らかった)』
veryextremely(非常に・とても)』

まとめ:無茶苦茶は、「むちゃ」という言葉を強調した言葉

ゴミを荒らすカラスを見て呆然としている人のイラスト
  • 無茶苦茶には、
    ①物事の筋道が立たない様子
    ②乱暴に扱ったり、乱雑にしたりする様子・また、乱雑した状態
    ③物事の程度が甚だしい様子
    といった意味がある
  • 無茶苦茶の漢字は当て字のため、お茶とは関係がない
  • 無茶という言葉は、仏教用語の「無作(むさ)」が由来ではないかと考えられている
  • 無茶苦茶と滅茶苦茶ほぼ同義語で言い換えが可能だが、滅茶苦茶には「どうにもならないほど壊れた状態」を表す意味もある
  • 無茶苦茶の類語は、「理不尽・破茶滅茶・凄まじい・でたらめ」などがある

いかがでしたでしょうか。
無茶苦茶と滅茶苦茶はほぼ同じ扱いをする言葉ですが、壊れてどうにもならない状態に対しては「滅茶苦茶」を用いることが分かりました。

ちなみに、無茶苦茶のように、漢字があったとしても「ひらがなで書いたほうが分かりやすい」と言われている言葉がたくさんあるのをご存知でしょうか。

少し例を挙げると、
「~なこと(事)」・「たくさん(沢山)」・「~など(等)」・「および(及び)」・「さらに(更に)」・「~するたび(度)」・「~のよう(様)だ」・「~のため(為)」・「すべて(全て)」・「ぜひ(是非)」・「いつ(何時)」のような言葉があります。

出版業界などでは、漢字がある言葉を「ひらがなで表記」することを『ひらく』、そのまま「漢字で表記」することを『とじる』と言うそうです。

通常、簡単な漢字などは漢字表記にしてしまいがちですが、読み物を扱う世界では、読み手が読みづらかったり、伝わりにくい文章になってしまったりしないよう、あえて「ひらがな表記をする」こともあるということです。

文を書く際には、内容も大切ですが、読みやすい文というのも心がけていきたいものですね。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

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のすけ

ご覧いただきありがとうございます! 少しばかり私の紹介ですが、息子を育てる父親であり、会社員をしています。 父親として恥ずかしくないよう、皆様と一緒に日本文化について知識を深めていけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

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