月と言えば、「満月」や「三日月」など様々な形がありますね。
ところで皆さんは、「上弦の月」とはどのような月かご存知でしょうか。
「昔、学校で習った気がするけどあまり覚えていない」という方や、どのような月か知っていても、「下弦の月との見分け方が難しい」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、
- 「上弦の月」の意味
- 「上弦の月」の名前の由来
- 「下弦の月」とは
- 月の満ち欠けについて
- 「上弦の月」・「下弦の月」になる理由
- 「上弦の月」・「下弦の月」の違いや見分け方
- 【2021年(令和3年)】の「上弦の月・下弦の月」カレンダー
- 「上弦の月」の英語表現
について解説・紹介していきます。
上弦の月の意味とは
「上弦の月(じょうげんのつき)」とは、『月の右半分だけが明るく見える半月』のことを言います。
新月(何も見えない月)を0日目と考えると、約7日目頃の月となります。
上弦の月の名前の由来
「上弦の月」は、別名「弓張月(ゆみはりづき)」とも呼ばれていて、『弦を張った弓』に見えることからその名が名付けられています。
「上」というのは、上旬・下旬のような順番を意味するもので、最初に訪れる弓張月であることから、「上の弓張月」として弓の「弦」の文字が用いられ『上弦の月』と呼ばれているそうです。
そして、次に訪れる「弓張月」は、「下の弓張月」として『下弦の月(かげんのつき)』と呼ばれています。
また、弓張月が沈んでいく際、月の弦(まっすぐな部分)を上にして沈むことから「上弦の月」、月の弦を下にして沈むことから「下弦の月」と呼ばれるようになったという説もあるようです。
下弦の月とは
「下弦の月」とは、「上弦の月」とは逆を向いた月となる『月の左半分だけが明るく見える半月』のことを言います。
新月から数えると、約23日目頃の月となります。
月は、「新月」から次第に丸くまるくなっていき「満月」となった後、再び次第に細くなり「新月」に戻るというのを繰り返していますが、この月の変化を『満ち欠け』と言います。
月の満ち欠け
月は、地球の周りを周りながら、約29.5日の周期で「満ち欠け」を繰り返しています。
月の「満ち欠け」には、それぞれ名前が付けられていますのでご紹介します。
- 【月齢0】
満ち欠けの始まりとされる太陽黄経との差が0°の月は、「新月(しんげつ)」や「朔(さく)」と呼ばれています。
☆新月から満月までは次第に月がまるくなっていきます☆ - 【月齢1】
新月の翌日の月は、「二日月(ふつかづき)」や「繊月(せんげつ)」と呼ばれています。 - 【月齢2】
新月から数えて3日目の月は、「三日月(みかづき)」・「若月(わかづき)」・「眉月(まゆづき)」・「蛾眉(がび)」などと呼ばれています。 - 【月齢7~8】
新月から数えて7日目頃、太陽黄経との差が90°となる月は、「上弦の月」・「半月」・「弓張月」と呼ばれています。
☆ちょうど右半分の月となります☆ - 【月齢10】
新月から数えて10日目の月は、「十日夜(とおかんや)」と呼ばれています。 - 【月齢11~12】
旧暦10日を過ぎた頃の月は、「十日余りの月(とおかあまりのつき)」と呼ばれています。 - 【月齢13】
新月から数えて13日目の月は、「十三夜(じゅうさんや)」と呼ばれています。
旧暦9月13日の「十三夜」は、旧暦8月15日の「十五夜」に次いで美しい月と言われています。 - 【月齢14】
新月から数えて14日目の月は、「待宵の月(まちよいのつき)」・「十四日月(じゅうよっかづき)」・「幾望(きぼう)」・「小望月(こもちづき)」などと呼ばれています。 - 【月齢15】
新月から数えて15日目、太陽黄経の差が180°となる月は、「満月(まんげつ)」・「十五夜(じゅうごや)」・「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」などと呼ばれています。
☆満月から新月までは次第に月が細くなっていきます☆ - 【月齢16】
新月から数えて16日目の月は、「十六夜(じゅうろくや」・「十六夜(いざよい)」・「既望(きぼう)」などと呼ばれています。 - 【月齢17】
新月から数えて17日目の月は、「立待月(たちまちづき)」や「十七夜(じゅうななや)」と呼ばれています。 - 【月齢18】
新月から数えて18日目の月は、「居待月(いまちづき)」や「十八夜(じゅうはちや)」と呼ばれています。 - 【月齢19】
新月から数えて19日目の月は、「寝待月(ねまちづき)」・「十九夜(じゅうくや)」・「臥待月(ふしまちづき)」などと呼ばれています。 - 【月齢20】
新月から数えて20日目の月は、「更待月(ふけまちづき)」や「二十夜(にじゅうや)」と呼ばれています。 - 【月齢23】
新月から数えて23日目頃、太陽黄経との差が270°となる月は、「下弦の月(かげんのつき)」・「半月」・「二十三夜(にじゅうさんや)」などと呼ばれています。
☆ちょうど左半分の月となります☆ - 【月齢26】
新月から数えて26日目の月は、「二十六夜(にじゅうろくや)」・「有明の月(ありあけのつき)」・「逆三日月(ぎゃくみかづき)」・「暁月(ぎょうげつ)」などと呼ばれています。 - 【月齢28~29】
新月から数えて28日頃の月は、「三十日月(みそかづき)」・「明けの三日月(あけのみかづき)」・「晦日(みそか・つごもり)」などと呼ばれています。
月齢29の翌日から再び新月に戻ります。
上弦の月や下弦の月になるのはなぜ?
月が「上弦の月」や「下弦の月」といった様々な形に見えるのは、太陽と月の位置によるものです。
月は自らが発光しているのではなく、太陽の光を反射することで、明るく輝いて見えます。
月は地球の周りを約1ヶ月かけて一周しますが、『月が移動することで太陽の光の反射が変わる』ため、地球からは月の形が変わったように見えるというわけです。
【新月】
「新月」は、地球から見ると、月と太陽が同じ方向(太陽黄経0°)にある月のことです。
月に反射した光は地球側ではなく、太陽側に反射することとなり、地球から月は暗く見えます。
【上弦の月】
月が左り周りに移動していくと、地球を中心として太陽と月の角度が90°になる地点があります。
これが「上弦の月」です。
「上弦の月」は右側から太陽の光を受けるため、地球からは右半分だけが明るく光った月が見えます。
【満月】
月が左回りに移動していくと、地球を中心として太陽と月の角度が180°になる地点があります。
これが「満月」です。
地球から月を見ると、太陽の光を全面に受けた月が見えるため、まんまるに輝く月となります。
【下弦の月】
月が左回りに移動していくと、地球を中心として太陽と月の角度が270°になる地点があります。
これが「下弦の月」です。
「下弦の月」は左側から太陽の光を受けるため、地球からは左半分だけが明るく光った月が見えます。
上弦の月と下弦の月の違いと見分け方
「上弦の月」と「下弦の月」はどちらも『半分に見える月』ですが、半月の向きや見える時間帯が違います。
上弦の月と下弦の月の向きと覚え方
「上弦の月」は右半分の半月で、「下弦の月」は左半分の半月ということは説明しましたが、右と左のどちらの半月が「上弦の月」か分からなくなってしまうこともあるかと思います。
その場合は、語呂合わせで『じみ(な)かさ』と覚えるようにすると良いです。
じ=(上弦)・み=(右)
か=(下弦)・さ=(左)
また、上弦の月と下弦の月は見える時間帯が違いますので、時間帯と方角で覚えるのも良いかもしれません。
上弦の月と下弦の月が見える時間
上弦の月・下弦の月が見える時間帯は次の通りです。
月の出(東の空) | 南中(真南) | 月の入り(西の空) | |
上弦の月 | 12時頃(昼) | 18時頃(夕) | 0時頃(夜) |
下弦の月 | 0時頃(夜) | 6時頃(朝) | 12時頃(昼) |
「上弦の月」は、昼の12時頃に弦を下に向けた形で東の空から昇り始め、夕方の18時頃に南の空に一番高く昇り、真夜中の0時頃に弦を上にした形で西の空に沈んでいきます。
一方、「下弦の月」は、真夜中の0時頃に弦を上に向けた形で東の空から昇り始め、朝の6時頃に南の空に一番高く昇り、昼の12時頃に弦を下にした形で西の空に沈んでいきます。
月がよく見える『夜』の時間だけで考えてみると、次のように区別することができます。
「下弦の月」は、『0時頃~6時頃の時間帯で東の空から南の空に向かって昇っていく半月』
ちなみに、太陽も月と同じように東の空から昇って西の空へ沈んでいくように見えますが、これは地球が西から東に向かって自転しているためで、太陽や月が実際に東から西へ向かって動いているわけではありません。
【2021年(令和3年)】「上弦の月」・「下弦の月」カレンダー
2021年 (令和3年) | 上弦の月 | 下弦の月 |
1月 | 21日(木) | 6日(水) |
2月 | 20日(土) | 5日(金) |
3月 | 21日(日) | 6日(土) |
4月 | 20日(火) | 4日(日) |
5月 | 20日(木) | 4日(火) |
6月 | 18日(金) | 2日(水) |
7月 | 17日(日) | 2日(金)・31日(日) |
8月 | 16日(月) | 30日(月) |
9月 | 14日(火) | 29日(水) |
10月 | 13日(水) | 29日(金) |
11月 | 11日(木) | 27日(土) |
12月 | 11日(土) | 27日(月) |
上弦の月を英語で表現すると
「上弦の月」を英語にすると、次のように表現されています。
『first quarter moon』
(月の上弦の期間)
『waxing moon』
(満ちていく月)
ちなみに、下弦の月は次のようになります。
『last quarter moon』
(月の下弦の期間)
『waning moon』
(欠けていく月)
まとめ:上弦の月とは右半分が見える半月のこと
- 上弦の月は、新月から数えて7日目頃の月
- 上弦の月は、弓張月とも言われていて、弓に似ているところからその名が付けられている
- 上弦の「上」とは、順番を表す意味で付けられているが、月が弦を上にして沈む様子が由来という説もある
- 上弦の月と下弦の月の見分け方は、『じみなかさ』の「語呂合わせ」、または「月の見える時間帯と方角」で覚えると良い
- 上弦の月は、昼の12時頃東の空から昇り、18時頃に南中を迎え、夜の0時に西の空に沈んでいく
いかがでしたでしょうか。
「上弦の月」は、右半分の半月のことであり、半月が弓の形に見えることから弓の弦の漢字が用いられ、「上弦の月」と呼ばれていることが分かりました。
ちなみに、昔は月の形を見るだけで、今日は何日頃というのが分かっていたのですが、その理由をご存知でしょうか。
それは、旧暦(太陰太陽暦)では、主に月の満ち欠けを基にして暦が作られていたため、ひと月の日数と月の形が一致していたからになります。
※現在は、太陽の動きを基にした「太陽暦(グレゴリオ暦)」が用いられているため、月の満ち欠けとは一致しません。
昔の人々は、月の形を見て農業を行い、種まきや作物の収穫時期を考えていたので、月の満ち欠けを知ることはとても重要なことでした。
そして、太陽と月の引力によって引き起こされる海の潮の満ち引きですが、水分を含む植物や人間にも大きな影響を与えると考えられています。
特に月と太陽が一直線に並ぶ新月と満月には引力が大きくなるため、自律神経の乱れにより頭痛やめまいといった症状をを引き起こしやすくなると言われています。
また、土中に実る「じゃがいも」などの根野菜の収穫には「新月」、地上に実る「とまと」などの野菜の収穫には「満月」を選ぶとみずみずしい野菜が収穫できるそうですよ。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。