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ハレとケの意味や由来とは?例や使い方、現代のハレとケについて解説

2021年8月19日

着物を着た女の子と普通の女の子のイラスト

皆さんは「ハレとケ」という言葉をご存知でしょうか。

「ハレの日」・「ケの日」と言えば分かる方もいらっしゃるかもしれませんが、「ケの日」はあまり聞かない言葉ですよね。

また、「なんとなくハレの日の意味は分かるけど、なぜハレの日と言うのか分からない」という方も多くいらっしゃるようです。

そこで、この記事では、

  • 「ハレとケ」の意味
  • 「ハレとケ」の語源と由来
  • 「ハレ」の日の例【一覧】
  • 「ハレとケ」と「ケガレ」とは
  • 「ハレとケ」の使い方【例文】
  • 「ハレ」の食事と「ケ」の食事
  • 現代の「ハレとケ」

について解説・紹介していきます。

ハレとケの意味とは?

花火の写真

「ハレとケ」とは、非日常と日常という意味があります。

ハレ」…お祝い事や公的なお祭りなどのいつもとは違う特別な日のこと
」…いつもと同じ普通の日のこと

古来の人々は、単調に繰り返すだけの辛い日常「ケ」の中に、特別な「ハレ」の日を作ることで、『生活に潤いや活力を与え、生活リズムを整える』目的があったと考えられています。

また、「ハレ」の行事は、季節の変わり目人生の節目に行われており、神様に無事に作物が収穫できたことを感謝をすると共に、特別な食事を作ってお供えし、神様にお供えした食事と同じものを食べることで『災いを払い、家族の健康や幸せを願う』意味もあったようです。

「ハレ」の日には、いつもとは違う服を着て、特別な食事を楽しむだけでなく、言葉遣いや作法までも変えて明確に「ケ」の日と区別していたと言われています。

ちなみに、「ケ」を繰り返すことによって、日常生活に支障をきたすようになることを「ケが枯れる=気枯れる」と言い、「ハレ」によって「気枯れ」を払い、
清らかで健康な状態に戻す』という考えもあるようです。

ハレとケの由来とは?漢字はある?

「ハレとケ」は、日本民俗学の開拓者と言われる「柳田國男(やなぎた くにお)」氏(1875年~1962年)によって見出された概念で、
非日常と日常を区別して考える日本の伝統的な世界観を表現したもの』と言われています。

「ハレ」は漢字で表すと、
晴れまたは霽れ
「ケ」は漢字で表すと、
となりますが、民俗学的にはカタカナで表記されるのが一般的です。

「ハレ」の語源

ひまわりと虹の写真

「ハレ」というのは、物事の時間的な節目(ふしめ)を意味する言葉で、
晴れ(霽れ)』が語源と言われています。

現在では、天気が良い日はすべて「晴れ」と言いますが、江戸時代頃までは、長雨が続いた後に現れる節目のような晴れ間に対して「晴れ」を用いていたようです。

この、「節目」を意味する「ハレ」は、『晴れ姿』や『晴れ舞台』といった言葉にも用いられています。

「ケ」の語源

猫を撫でる女性の写真

「ケ」というのは、日常を表す言葉である『褻(け)』が語源だと言われています。

日常を表す「褻」というのは、『褻着(けぎ)』や『褻稲(けしね)』といった言葉に用いられており、このような言葉が由来となって生まれたとされています。
※「褻着」は『普段着』、「褻稲」は『日常的に口にする穀物』のことです。

「ハレ」の日の例【一覧】

お正月のお祝い膳の写真

それでは、「ハレ」とは具体的にどのような日のことをいうのか、例をあげて紹介します。

冠婚葬祭
成人式・結婚式・葬式・お盆・お彼岸など

祭祀・祭礼
お祭り(天神祭・祇園祭・天神祭など)・えびす講(十日戎)・酉の市(とりのいち)など

お祝い事
初宮参り(はつみやまいり)・入学式(入学祝い)・七五三・卒業式・就職祝い・定年退職祝い・結納・還暦(長寿)祝い・結婚記念日・開店(開業)祝い・出産祝い・誕生日など

年中行事
お正月・大晦日・節分・ひな祭り・こどもの日・敬老の日・冬至・お花見・お月見(十五夜・十三夜・十日夜)・七夕など

「年中行事」については、下記の『年中行事の意味とは?』の記事内でも紹介していますので、よろしければご覧ください。

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「ハレとケ」と「ケガレ」

枯れたあじさいの写真

「ハレとケ」という柳田氏が唱えた概念に、ケガレというもう一つの概念があると言われているのをご存知でしょうか。

1970年代に入った頃、民俗学者達が開催したシンポジウムで、「ハレとケ」の概念に、「ケガレ」の概念も加えるべきではという論議になったと言われています。

参加者の1人であった「文化人類学者」である波平恵美子(なみひら えみこ)」氏は、「ハレ・ケ・ケガレ」はそれぞれ対立して存在する概念であり、「ケガレ」の概念は『不浄性』を意味し、「葬式」は「ハレ」とは異なるものとして『ケガレ』であると説いています。

しかし、他の多くの民族学者達は、「ケガレ」の概念はあるとしながらも、「ケガレ」の意味については波平氏の考えとは異なる見解を示し、「葬式」は様々な民族事例などから「ケガレ」ではなく、非日常である『ハレ』だとしました。

「ケガレ」の概念については、様々な民族学者達の意見が交差する形となり、現在でも統一的な定義は打ち出せてはおらず、議論としてとどまったままとなっています。

ハレとケの使い方【例文】

「ハレとケ」の「ハレ」はよく用いられる言葉となっていますが、「ケ」はほとんど用いられることはありませんので、「ハレ」の使い方を例文で紹介します。

【例文1】
ご結婚おめでとうございます
このたびは おふたりのハレ(晴れ)の席にお招きいただき ありがとうございます

【例文2】
2021年は、約124万人の若者がハレ(晴れ)の門出を迎え、新成人となったそうだ。

【例文3】
明日は孫のハレ(晴れ)の日だからと、父は朝から張り切って散髪に出かけた。

ハレの食事・ケの食事とは

現代では、肉が食べたいと思えば簡単に肉を食べることができる時代となり、「ハレとケ」の差はほぼ無くなったと言われています。

では、昔の人々の、「ケ」の食事、「ハレ」の食事とはどのような食事であったのでしょう。

ケの食事

味噌汁の写真

「ケの食事」は、日常的に食べる食事となりますが、戦後の1955年(昭和30年)の高度経済成長期を迎えるまでは、『一汁一菜(いちじゅういっさい)』が庶民の一般的な食事であったと言われています。

しかし、「一汁一菜」といっても、都市部以外の農村地域では、ご飯は白米ではなく、麦・稗(ヒエ)・粟(アワ)といった雑穀や、芋・大根などを混ぜ込んでかさ増しした「かて飯」が主食であり、それに、お味噌汁(一汁)と漬物(一菜)のセットが食事の基本であったそうです。

大豆や野菜の煮物といった副菜がつく日もあったようですが、魚などの動物性の食品やお酒は大変貴重であり、めったに飲食することができなかったと言われています。

ハレの食事

お屠蘇のセットの写真

「ハレの食事」は、『行事食』や『祭事食』とも呼ばれますが、お祝い事や公的な行事の際に食べられていた特別な食事です。

主な食べ物としては、
白米・赤飯・お餅・お酒・尾頭付きの鯛』などがあります。

また、季節の行事食としては、
お節料理・雑煮・七草粥・菱餅・おはぎ・素麺』などが挙げられますが、現在でも昔からの風習として食べられているものばかりですので、ご存知の方が多いのではないでしょうか。

現在では、このような食べ物はいつでも食べられることから、特別「ハレの日」を心待ちにすることは無いと思いますが、昔の人々にとっては唯一『ごちそう』が食べられる特別な日であったのです。

現代のハレとケ

現在でも、お正月や成人式といった「ハレの日」には、いつもとは違う特別なごちそうを食べたり、綺麗な晴れ着で着飾ったりする風習は残ってはいますが、伝統的な風習として行われているだけで、昔のような特別な感情は失われつつあるようです。

以前は明確な区別があったとされる「ハレとケ」ですが、産業の発展と共に「ハレとケ」の区別が曖昧になり、現在では「ハレ」の状態が続いていると言われています。

つまり、かつての「ハレ=非日常」であったものが、現在では「ケ=日常」となったというわけです。

では、現代の「ハレ」とは何を言うのでしょう。

現代のハレ(非日常)とは

キャンプをする女性の写真

現代の「ハレ」としては、「好きなアーティストのライブ」や「テーマパーク」、「キャンプ」といった“日常を忘れることのできる空間”や、“旅行”などが挙げられます。

また、いつもはなかなか入ることができないような高級料理店で、日頃の自分へのご褒美としてディナーを食べることも「ハレ」と言えるのではないでしょうか。

経済が豊かになり、娯楽も増えたことで、『様々な「ハレ」が楽しまれている』というのが現代の特徴と言えるでしょう。

もちろん、昔ながらのお祭りも「ハレ」の行事として今でも人気があります。

お祭りの本質である『自然の神様に感謝と祈りを捧げる』という本来の意味は時代と共に忘れ去られてしまいましたが、大衆文化として生き残り、華やかで活気のあるハレのイベントとして現在でも私達を楽しませてくれています。

まとめ:ハレとケは「非日常と日常」という意味がある

ブランコに乗る人のイラスト
  • ハレ(晴れ・霽れ)は節目を表す言葉で、年中行事やお祝い事などの「特別な日」のこと、ケ(褻)はいつもの日常を表す言葉
  • ハレとケの概念は、民俗学者である柳田國男氏によって見出された
  • ハレとケの概念に加え、ケガレの概念があると言われている
  • 昔は、一汁一菜がケの食事であり、白米やお酒はハレの食事であった
  • 現在は、ライブや旅行といった様々なハレが楽しまれている

いかがでしたでしょうか。
ハレとケは、日本の伝統的な世界観を表した概念であり、辛く苦しい「ケ(日常)」を乗り切るために作られたものが「ハレ(非日常)」ということが分かりました。

一般的に私達は、楽しい気分にさせてくれる「ハレ」ばかりを求めてしまいがちですが、毎日が「ハレ」のような日ばかりだと、最初は楽しかった「ハレ」も次第に平凡な「ケ」となってしまいます。

また、食べる物や着るものに困らず、多くの人が何不自由なく暮らせる日本では、何事もなく平和に暮らせること自体が幸せなことなのだと気が付きにくいものです。

「明日死ぬかもしれない命、人生後悔したくない」という方には向かないかもしれませんが、できるだけ質素な生活を続け、月に1、2回の贅沢をするというようなサイクルを作ることで、日常にメリハリが生まれ、平凡だった毎日が楽しみのある毎日に変わるかもしれません。

平凡な毎日である「ケ」と、非日常である「ハレ」は、どちらか一方だけでは成り立たず、「ケ」の日々の中に時折訪れる「ハレ」の日があるからこそ、大きな幸せを実感することができるような気がします。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

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のすけ

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