皆さんは、春の風物詩と言えば、何を思い浮かべますか?
春と言えば、「桜」のイメージが強いですが、風物詩と言われるものは「食べ物」や「動物」など、たくさんあるようです。
また、「風物詩」という言葉には、どのような意味があり、用いられるようになった言葉なのでしょう。
そこで、この記事では、
- 風物詩の意味
- 風物詩の語源・由来
- 風物と風物詩の違い
- 春・夏・秋・冬の風物詩
- 風物詩の使い方
- 風物詩の類語・言い換え
- 春の風物詩の英語表現
について解説・紹介していきます。
風物詩の意味とは?
まず初めに、「風物詩(ふうぶつし)」の意味を確認しておきましょう。
「風物詩」は、
『ある季節を表すことのできる特有の物・事』
『風景や季節をうたった詩』
という2つの意味があります。
風物詩の語源・由来
「風物詩」という言葉に、なぜ「詩」という言葉が付くのか不思議に思いますよね。
まず、「風物」にどのような意味があるのかというと、
『目に入る眺め』
『風景・景色』
『四季折々の物やその土地の特徴を表すもの』
といった意味があります。
このような「風物」から受けた感情を、「詩」として表現したものを当初は「風物詩」と呼んでいたそうです。
その後、「心に訴えかけるような季節を表す特徴的な風物(植物・食べ物・生き物・行事など)」を『風物詩』と呼ぶようになったことが、「風物詩」の由来とされています。
風物と風物詩の違いとは?
「風物」には、『四季折々の物やその土地の特徴を表すもの』といった意味があることをお伝えしましたが、「風物詩」との違いがよく分からないといった方もいらっしゃると思います。
「風物詩」の由来で説明した通り、
『心に訴えかけるような、季節を感じることができる風物』=『風物詩』ということになります。
では、風物についてもう少し詳しく説明すると、季節に関係のないその土地に特徴的な物や目に入る風景は『風物』ということです。
分かりやすく「風物」を用いた例で説明すると、下記のような文章になります。
- 『畳や障子は日本の風物だ』
- 『江戸時代では、ちょんまげ姿は当たり前の風物だった』
- 『京都には、日本の歴史を感じる魅力的な風物が多く存在し、観光地としてとても人気がある』
畳や障子といったものは、日本をイメージさせる特徴的なものですが、季節は表さない物のため、「風物詩」という言い方は通常しません。
しかしながら、『満員電車は東京の朝の風物詩である』というように、「朝」といったある一定のサイクルを表すもので、「満員電車」で「東京の朝」を表すことができるといった場合では、「風物詩」という言い方がされています。
ちなみに、奈良公園の風物である「シカ」は、有名で評判があるため、「名物(めいぶつ)」といった言い方がされることが多いようです。
それでは、「春・夏・秋・冬」の風物詩をご紹介します。
春の風物詩といえば何?
春と言えば、桜や菜の花が美しく、心地の良い穏やかな季節となりますが、春の風物詩と言えば何があるでしょう。
それでは、種類ごとに「春の風物詩」(3月・4月・5月)を紹介します。
植物
梅・桜・つくし・菜の花・レンゲソウ・蕗の薹(ふきのとう)・チューリップ・すずらん・ヒヤシンス・ツツジ・すみれ・たんぽぽ・オオイヌノフグリ・ネモフィラ・桃の花・ハナミズキ・アネモネ・フリージア・福寿草・芝桜・すずらん・藤・椿・山吹・木蓮・牡丹(ぼたん)・よもぎ
動物(生き物)
つばめ・メジロ・うぐいす・オタマジャクシ・蝶々(ギフチョウ・ウスバシロチョウ・ツマキチョウなど)・ホタルイカの身投げ・蛙合戦(かわずがっせん)・春告魚(ニシン・メバル・サヨリ・サワラ・シロウオなど)
行事・物
お花見・卒業式・入学式・ひな祭り・こどもの日・母の日・鯉のぼり・ゴールデンウィーク・お雛様・五月人形・エイプリルフール・ホワイトデー・新入社員・夜桜・田植え・五月病・花祭り・イースター
食べ物
桜餅・柏餅・ぼたもち・草餅・たけのこ・アスパラガス・新玉葱・新じゃがいも・春きゃべつ・グリーンピース・いちご・桜鯛(真鯛)・初鰹・はまぐり・あさり・ホタルイカ・山菜
夏の風物詩といえば何?
夏と言えば、お祭りや花火大会など、楽しみなイベントが多い季節となりますね。
それでは、種類ごとに「夏の風物詩」(6月・7月・8月)を紹介します。
植物
ひまわり・朝顔・ハイビスカス・クチナシ・あじさい・ムクゲ・菖蒲(しょうぶ)・タチアオイ・ハーブ・蓮(ハス)・半夏生(はんげしょう)・ユリ・アナベル・プルメリア・ノウゼンカズラ・ラベンダー・ホオズキ・へちま
動物(生き物)
セミ・蛍・蚊・カブトムシ・カナブン・アメンボ・シオカラトンボ・カタツムリ・金魚・ホトトギス
行事・物
父の日・七夕・短冊・夏休み・夏祭り・プール・お盆・盆踊り・蚊取り線香・うちわ・花火・ビアガーデン・バーベキュー・土用の丑の日・風鈴・海水浴・ビーチパラソル・入道雲・ラジオ体操・扇風機・金魚すくい・水風船・浴衣・麦わら帽・お化け屋敷・肝試し・野外フェス・甲子園・鵜飼い・打ち水・逃げ水・すだれ・精霊流し(しょうろうながし)・流しそうめん
食べ物
ゴーヤー・とうもろこし・トマト・ピーマン・キュウリ・枝豆・そら豆・かき氷・アイスキャンディー・水ようかん・スイカ・冷やし中華・そうめん・ところてん・ラムネ・ビール・うなぎ・あなご・ハモ・鮎・岩牡蠣
秋の風物詩といえば何?
秋と言えば、紅葉が美しい季節でもありますが、美味しい秋の味覚を楽しめる季節でもありますね。
それでは、種類ごとに「秋の風物詩」(9月・10月・11月)を紹介します。
植物
紅葉(もみじ)・コスモス・菊・キンモクセイ・ダイモンジソウ・リンドウ・イチョウ・セイタカアワダチソウ・彼岸花(ひがんばな)・センブリ・どんぐり・秋の七草(ナデシコ・萩(ハギ)・女郎花(オミナエシ)・藤袴・くずの花・ススキ・キキョウ)
動物(生き物)
コオロギ・鈴虫・マツムシ・アキアカネ・カメムシ・リス・渡り鳥(ウズラ・ヒヨドリ・シギ・チドリ・タカ)
行事・物
お月見・満月・ハロウィン・仮装パーティ・十五夜・運動会・文化祭・鱗雲・キノコ狩り・稲刈り・紅葉狩り・七五三・ボジョレーヌーボー・収穫祭・焚き火・読書・芸術・落ち葉・木の実
食べ物
くり・銀杏・アケビ・サンマ・鮭・さつまいも・りんご・柿・梨・ぶどう・いちじく・ザクロ・松茸・おはぎ・れんこん・かぼちゃ・すっぽん・炊き込みご飯・新米・月見うどん・月見団子・月見バーガー
冬の風物詩といえば何?
冬と言えば、大きなイベントが多い季節でありますが、寒さが極まり、鍋料理が美味しい季節でもありますね。
それでは、種類ごとに「冬の風物詩」(12月・1月・2月)を紹介します。
植物
もみの木・山茶花(さざんか)・水仙・ポインセチア・椿・ロウバイ・スノードロップ・シンビジウム・センリョウ・ヤツデ・クリスマスローズ・シクラメン・南天の実・ヒイラギ
動物(生き物)
キタキツネ・白鳥・シマエナガ・ツル・ミノムシ
行事・物
クリスマス・クリスマスツリー・クリスマスプレゼント・お正月・門松・鏡餅・お年玉・羽子板・凧(たこ)・十日戎(とおかえびす)・除夜の鐘・初詣・初日の出・どんど焼き・マフラー・ストーブ・ホッカイロ・スキー・イルミネーション・つらら・年賀状・お歳暮・こたつ・温泉・編み物・ニット・雪だるま・雪合戦・節分・成人式・霜柱・寒中水泳・忘年会・大掃除・バレンタイン・雪うさぎ
食べ物
白菜・大根・みかん・ゆず・牡蠣・カニ・ブリ・ふぐ・あんこう・なまこ・ワカサギ・鍋・七草がゆ・年越し蕎麦・雑煮・おせち・クリスマスケーキ・チョコレート・恵方巻き・鍋焼きうどん・おでん・肉まん・シチュー・おしるこ・ココア
風物詩の使い方【例文】
「風物詩」という言葉を用いる場合は、「○○の風物詩」というように、何の風物詩なのかを最初に説明するのが一般的です。
では、「風物詩」の使い方を【例文】で確認してみましょう。
- 【例文①】
夏の風物詩である花火を楽しもうと、毎年大勢の人が県外から集ってくる。 - 【例文②】
毎年冬になると、愛猫がストーブの前を陣取ることが、我が家の風物詩となっている。 - 【例文③】
「義理チョコ」という日本のバレンタインの風物詩が、各会社で廃止される動きが進んでいるようだ。
風物詩の類語は?
「風物詩」と同じような意味を持つ言葉としては、季節を表す言葉である『季語』が当てはまりますが、言い換えの表現としては下記の言葉がしっくりとくるかもしれません。
- ~を象徴する・~を表す・~を特徴づける
- ~の代表的な・~の代名詞である
- ~を感じる
- ~と言えば
- ~を思う・~を連想する
①春を象徴する桜が、満開を迎えた。
(春の風物詩である桜が、満開を迎えた。)
②夏の代表的なイベントである花火大会が、明日から全国各地で開催される。
(夏の風物詩である花火大会が、明日から全国各地で開催される。)
③サンマや柿などの秋の味覚は、秋を感じるものである。
(サンマや柿などの秋の味覚は、秋の風物詩である)
④冬と言えば、クリスマスプレゼントだと多くの子供が答えるだろう。
(冬の風物詩は、クリスマスプレゼントだと多くの子供が答えるだろう。)
⑤お正月を連想するものとして、門松や鏡餅など、たくさんのお正月飾りが挙げられる。
(お正月の風物詩として、門松や鏡餅など、たくさんのお正月飾りが挙げられる。)
春の風物詩を英語で表現すると
「春の風物詩」を英語で表現すると、下記のような表現があります。
『spring feature』(春の特徴)
『spring symbol』(春の象徴)
『spring tradition』(春の風習)
「風物詩」という直接の英語が無いため、次のような言い方もされています。
『thing that reminds people of spring 』
(春を思い出させるもの=春の風物詩)
まとめ:風物詩の意味は、季節を表すことのできる特有の物・事のこと
- 「風物」とは、目に入る景色・四季折々の物・その土地の特徴を表すもののことを言う
- 元々「風物詩」は、季節特有の風物から受けた感情を「詩」で表したものだった
- 「風物詩」は、周期があり、ある一定の期間を表す風物にも用いられる
- 風物詩の言い換えの表現として、「~を象徴する」・「~を連想する」といった言葉がある
いかがでしたでしょうか。「桜」と言えば、誰もが「春の季節」をイメージできるように、季節を感じることのできる特徴的な風物を「風物詩」と言うことが分かりました。
ちなみに、風物詩は四季を表すことのできる言葉であることから、俳句の世界では「季語」として扱われているものも多く存在します。
春には、ブランコ・ボートレース・風船(紙風船)・シャボン玉といった面白い季語があります。
どの言葉も、春を表す言葉とは思えませんが、かつて春に行われていた風習から「春の季語」となった経緯があるようです。
時代の変化と共に、かつて当たり前だった風習が現在では行われなくなっていることも多いと思いますが、風物詩となっている風習をこれからも大切にしていきたいものです。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。