皆さんは小指を掛け合い「指切り」をして約束をしたことはありますか?
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます、指切った」というフレーズが有名ですが、いつから言われるようになったのかご存じでしょうか。
また、「指切りげんまん」の歌詞を確認してみると、なかなか恐ろしいことを言っていますよね。
このような言葉はなぜ、言われるようになったのでしょう。
そこで、この記事では、
- 「指切りげんまん」の意味やその由来
- 「指切りげんまん」には続きがある?
- 「指切りげんまん」の英語表現
について、解説・紹介していきます。
指切りげんまんの意味とは
『指切りげんまん、嘘付いたら針千本飲~ます、指切った』という歌詞のフレーズですが、この意味を説明すると、現在での「指切り」は「約束を守る」という意味で使用されていますが、実はこの歌詞では「小指を切る」というのが本来の意味となっています。
「げんまん」は漢字で書くと「拳万」となり、「拳(こぶし)で1万回殴る」という意味になります。
以上のことからこのフレーズの意味は、
『小指を切って約束をしよう。もし守らなかったら、拳で1万回殴り、針を千本飲ませます。はい、約束』というなんとも恐ろしいことを言っているのです。
ちなみに、「針千本」を魚の「ハリセンボン」とする説もあるようですが、「食わす」ではなく「飲ます」と続いていることから俗説(根拠のない話)とされています。
では、なぜこのようなことが言われるようになったのでしょうか。
これは、「指切り」という小指を切る行為が大きく影響しています。
指切りげんまんの由来とは
時代は江戸時代まで遡(さかのぼ)ります。
当時、吉原(よしわら)と呼ばれる場所に遊郭(ゆうかく)がありました。遊郭とは、いわゆる風俗街のことを言います。
そこで働く遊女(ゆうじょ)達は、意中の男性(客)への愛を表す※「心中立(しんじゅうだて)」として第一関節から切り落とした小指を男性へ贈ったのが由来とされています。
※心中立(しんじゅうだて)とは、ずっと変わらない愛情を示す証拠を立てることを言います。
この女性の小指を切り落とすという行為は、非常に苦痛を伴うため、それほどあなたを愛しているという誓いを示すことになり、必ず夫婦になりましょうという約束の証でもあったのです。
しかし、実際に小指を切るという遊女は少なく、作り物の指や、死体の指を買って贈っていたようです。
この風習が一般にも広まり、「指切り」が約束を必ず守るという意味になったと言われています。
また、最初は「指切り」だけだった約束ですが、次第にそれだけではもの足りなくなり、「拳万」や「針千本」まで加えられ、さらに江戸っ子の間では、その続きまで歌われていたとされています。
指切りげんまんの続きとは?
江戸っ子の間では、「死んだら御免(ごめん)」という言葉も加えて歌われていたようです。
この言葉には「一度誓った約束は、死なない限り絶対に守る」や「約束は必ず守るけど、死んでしまった時は許して下さい」という意味があるため、それだけ約束は必ず守るべきものとされていたということなのでしょう。
現在でも約束は必ず守るべきものですので、お咎(とが)めがないからといって約束を守らないというのは信用を失ってしまうことに繋がってしまいます。
約束をした際にはきちんと守るようにしましょう。
ちなみに、この「指切り」という小指を切って約束を誓う風習ですが、このことが由来となり、暴力団での掟(おきて)を破った際に謝罪とけじめを示すとされる”小指を切る”という「指詰め」という行為に繋がったと言われています。
指切りげんまんは英語圏にもある?
日本での「指切りげんまん」のようなものは海外に存在しているのでしょうか。
実は、英語圏でも小指を使った約束が行われています。
- 『Pinky swear.』
- 『Pinky promise.』
といった言葉を言いながら小指を出して約束をするようですが、主に命令としての約束に使われるようです。
しかし、近年では、日本文化であるアニメの影響もあり、日本のように小指をかけて約束が行われているそうです。
英語圏での起源は、独自のものなのか、伝わったものなのかは定かではありませんが、1860年頃から小指を使った約束は行われていたとされています。
また、韓国や台湾といった国でも指切りは行われているようですが、日本の指切りが由来となり、独自に発展したと考えられているようです。
しかし、日本の指切りとは終わり方が違い、日本のように最後に小指を切って終わるのではなく、お互いの親指をくっつけて約束を誓うとされています。
この意味としては、拇印(ぼいん)を押して契約を交わすような意味があるとのことです。
まとめ:指切りげんまんは、遊女が「愛の証」として小指を切って贈ったことが由来とされている
- 拳万(げんまん)は、拳(こぶし)で1万回殴るという意味
- 遊女は小指を切ることで愛の深さを証明した
- 江戸っ子の間では、指切りげんまんの続きに「死んだら御免」がある
- 英語圏や韓国などの国でも小指を使った約束が行われている
いかがでしたでしょうか。
小指を実際に切ることは少なかったようですが、愛情を証明する上では非常に効果があったのではないでしょうか。
しかし、受け取った男性は愛情の深さを感じるというより、恐怖を感じてしまいそうですよね。
ましてや、他人の死体の小指を渡すとなると、脅迫や嫌がらせとしか思えません…。
このように、由来を知ると恐ろしい風習に感じてしまいますが、子供の頃小指を繋ぎ合って交わした約束は、固い友情を結んだ気がしてとても良いものだった気がします。
『約束は守るべきもの』として子供に教える際には、あまり由来は考えず、特別な約束の方法として「指切り」を行っていきたいものですね。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。