蝶は、華麗で美しい見た目から、人々に好まれ、絵柄として昔から人気がありますが、蝶に込められた縁起をご存知でしょうか。
また、蝶はある事の象徴として武将に大変好まれていたようなのですが、いったい何の象徴なのでしょう。
そこで、この記事では、
- 蝶は何の象徴?
- 蝶の縁起
- 蝶のスピリチュアル的な意味とは
- 蝶が寄ってくる人の理由
について解説・紹介していきたいと思います。
蝶(チョウ)は何の象徴?
昔から日本では、蝶は『不死不滅』の象徴とされていたようです。
不死不滅とは、死ぬことがなく、永遠に続くことを意味しています。
なぜ蝶が「不死不滅」の象徴となったのかというと、蝶の幼虫がサナギとなり、サナギから蝶へと変化する様子が「復活」や「転生」を思わせたためだと言われています。
そのため、戦国武将達は蝶の縁起にあやかりたいと、蝶をモチーフとした「家紋(かもん)」や「武具」を作り、好んで使用していたとされています。
蝶は亡くなった人の魂を運ぶ?
また、仏教においても、蝶は『輪廻転生(りんねてんしょう)』の象徴とされ、蝶はあの世とこの世を行き来することができる神聖な生き物とされてきました。
輪廻転生とは、全ての生き物は死んだ後も新しい命となって「生まれ変わり続ける」ことを意味しています。
そして、人は死ぬと魂(たましい)が体から抜け出し、蝶が亡くなった人の魂を極楽浄土まで運んでくれるとされていたようです。
そのため、仏具にも装飾として蝶がモチーフにされているものが多く作られています。
海外でも蝶は「魂」のシンボル
海外でも、蝶は『魂』の象徴とされており、「生と死と復活」を意味するものとされているようです。
死んでしまったように見えるサナギが綺麗な蝶になって自由に空を舞う姿を見ると、どこの国でも復活をとげた神秘的な生き物に見えるんだろうね。
キリスト教では、サナギが蝶へと変身する姿がキリストの復活と同一視され、蝶はキリストの『復活』の象徴とされています。
一説によると、キリストが復活した際、それを伝えるために蝶が人々を導いたとも言われています。
また、ギリシャでも、蝶は『魂』や『不死』の象徴となっており、蝶は亡くなった人の化身と捉えられることもあるそうです。
ギリシャ神話に登場する絶世の美女である「プシュケー(プシュケ)」は、ギリシャ語で「魂」と「蝶」の2つの意味を持つことから、蝶の羽を持つ姿で表されています。
ちなみに、人間の女性であるプシュケーは、自らの行動から様々な苦難にあうことになりますが、最終的には最高神であるゼウスによって永遠の命を与えられ、愛の神であるエロス(エロース)との結婚を認められて幸せになります。
ローマ神話では、愛の神エロスは「クピド(キューピッド)または「アモル」、ゼウスは「ユピテル(ジュピター)」と呼ばれているよ。
蝶が縁起が良いとされる理由
蝶が縁起がよいとされる理由としては、「蝶の美しさ」と、やはりその「成長過程」にあります。
幼虫から美しい蝶へと生まれ変わって優雅に空へ飛び立つ姿は、大変神秘的で華やかさがあることから、※「吉祥文様(きっしょうもんよう)」として取り入れられ、着物や帯のデザインに用いられてきました。
※「吉祥文様」とは、縁起がよいとされる物を描いた図柄のことです。
振り袖に蝶のデザインが用いられる場合、蝶のように美しく、空高く舞い上がってほしいと
『女性の健やかな成長』や『未来への華々しい開花』を願う意味があると言われています。
また、蝶は産卵期を迎えると、つがいで仲睦まじく飛ぶ様子がみられることから、蝶の絵柄には『夫婦円満』を願う意味、加えて、「チョウ」という音は「長」に通じるとして『長寿』を願う意味もあるそうです。
ちなみに、平安時代には、貴族が好んで使用していた「有職文様(ゆうそくもんよう)」として蝶が文様化されて取り入れられていたようですが、有職文様のモチーフは「蚕蛾(カイコガ)」だと考えられており、蚕蛾はよく動き、たくさん卵を生むことから、『勤勉と繁栄の象徴』とされています。
蝶が縁起が悪いとされる理由
一般的には縁起がよいと言われる蝶ですが、縁起が悪いと言われることもあります。
蝶が縁起が悪いと言われる理由としては、
・蝶が死者の化身と考えられたこと
・花から花へ蝶が飛び回る様子
などが挙げられます。
ちなみに、鎌倉時代の歴史書である『吾妻鏡(あづまかがみ)』によると、鎌倉中に黄蝶の群れが大量発生したとあり、平将門の乱の時もそうであったと、黄蝶の群れは「戦乱の兆し」として大変恐れられていたようです。
死者の化身と考えられた蝶
昔から日本では、蝶は『死者の化身』や『あの世からの使い』と言われることがあります。
親しい人が蝶になって現れたとしても恐ろしいとは感じませんが、あの世からの使いとしてや、この世に未練を持った人が蝶になって自分の前に現れたとすると、恐怖を感じ、不吉なものと感じるのは自然なことです。
また、蝶のオスの性質として、自らの受精能力を上げるために「アンモニア」や「塩分」を求める傾向があるため、尿や動物の死骸から流れる血液を接種することがあります。
昔は戦で亡くなった人が多くいたため、死体の周りに集まる蝶は「死者が蝶に姿を変えたもの」として不気味に見えたことでしょう。
蝶が不吉なものとして捉えられた結果、下記のような言い伝えもあります。
- 夜更けに無数の白い蝶が雪のように舞っていたら、それは不慮の死をとげた亡霊であり、それに息が詰まるほどまとわりつかれると、その人は病気を患って死ぬ
- 黒い蝶が部屋の中に入ってくると死の前兆である
このような言い伝えは、人の不安が作り出した迷信と考えて良いでしょう。
たとえ蝶があの世からの使いや死者の化身だったとしても、蝶によって不幸がもたらされることはありません。
決して蝶は「怖い存在ではない」ということです。
もし、お墓などで自分の目の前に蝶が現れたとするならば、「故人が感謝の気持ちを伝えにきた」と考える人が多いようです。
ちなみに、昔は蝶と蛾(が)の区別はされていなかったようで、蛾は「夜の蝶」と呼ばれていました。
浮気者と例えられる蝶
蝶は花から花へと次々に飛び回ることから、『浮気者』に例えられることがあります。
そのため、女性の正装や婚礼の柄として「蝶」は避けるべきという考えもあるようです。
蝶のスピリチュアル的な意味とは?色によって意味が違う?
蝶は縁起物として人々に愛されてきましたが、風水でも蝶は「美・変化・幸運・自由」などの意味があり、『幸運』の象徴となっています。
また、蝶といっても様々な種類が存在しますが、中でも「アゲハ蝶」は昔から特別視されてきたようです。
アゲハ蝶の幼虫は神様として祀られていた?
奈良時代に成立したとされる歴史書『日本書紀』によると、イモムシが「常世神(とこよのかみ)」と信仰され、常世神を祀ることで、『富』や『長寿』が得られてるとされていたことがあったようです。
常世神と言われるイモムシは、常に橘(たちばな)や山椒(さんしょう)の木に存在し、大きさは親指くらいで色は緑色、そして黒点があるとされていることから、アゲハ蝶(ナミアゲハ)の幼虫ではないかと考えられています。
なぜ、アゲハ蝶の幼虫が神様と言われるようになったのかははっきりと分かっていませんが、アゲハ蝶の幼虫が「橘の木」によく発生していたことが由来ではないかとされています。
橘の木は、冬になっても緑色の葉をつけている「常緑樹」です。
常緑樹は、特別な力を持つ神聖な植物と考えられていたため、橘の木の葉を好み、その木に発生するアゲハ蝶の幼虫は「常世の国からやってきた神様」だと考えられたのではないかと言われています。
『常世の国』ってどういう意味?
常世の国は、海の彼方にあるとされた理想郷(りそうきょう)のことで、『不老不死の世界』と考えられていたんだよ。
アゲハ蝶は『運気上昇』の意味がある
アゲハ蝶は、漢字にすると「揚羽蝶」と書きます。
「揚羽」は、「羽を揚げる状態」を表す言葉ですが、「揚」という字には、「高く上がる」・「勢いが良い」という意味があります。
そのため、アゲハ蝶には『運気上昇』や『幸運に導く』という意味があるそうです。
ちなみに、アゲハ蝶と言ってもたくさんの種類が存在しており、日本にはアゲハ蝶科に属するものが30種類ちかくいるとされています。
蝶の色の意味
一般的に蝶は「幸運をもたらす」と言われているけど、どの蝶もそうなのかな?
スピリチュアル的には、色によって異なる意味があるよ
蝶の色ごとの意味は、下記のとおりです。
意味 | |
黒い蝶 | 吉兆・幸運 |
白い蝶 | 天使からの守護・好転 |
黄色い蝶 | 金運・仕事運・幸運・健康運 |
青い蝶 | 仕事運・人間関係の向上・勝負運 |
オレンジ色の蝶 | 行動運・新しい出会い |
茶色い蝶 | 安定 |
黒い蝶はその見た目から、「なんだか不吉だ・・・」と思われがちですが、実はスピリチュアル的には『幸運の兆し』と言われています。
どの蝶も悪い意味はないみたいだね!
蝶が寄ってくる人には理由がある?
蝶がよく寄ってくるという人がいるみたいだけど、何か意味や理由があるのかな?
スピリチュアル的には、蝶が寄ってくる人は次のようなことが言われています。
- 良い波動やエネルギー(オーラ)を持っている
- 幸運が訪れる知らせ
しかしながら、蝶の生態として蝶が寄ってきている場合も考えられますので、蝶が寄ってくるという人はチェックしてみてください。
- 色に反応して寄ってきている
- 柔軟剤や香水、整髪料などの香りに寄ってきている
- 汗の匂いに反応し、塩分を求めて寄ってきている
- 体臭に含まれるアンモニアの成分に寄ってきている
蝶を寄せ付ける色
蝶は、種類によって寄せ付ける色があるようですが、『紫』はどの蝶も好きなことから、寄せ付けやすい色と言われています。
アゲハ蝶は、『赤』や『青』を好む性質があるようですが、どの蝶も必ずしも寄ってくる色が決まっているわけではありません。
ちなみに、虫全般に好まれる色は『黄色』と『白』と言われています。
蝶を寄せ付けるニオイ(体臭)
体臭といっても様々ですが、アンモニアが混ざる体臭の場合、そのアンモニアに惹かれて蝶が寄ってくることがあります。
疲労臭は、生活習慣の乱れやストレスなどが原因と言われている体臭のことで、血液中のアンモニア濃度が上昇することにより発生すると言われています。
厄介なことに、疲労臭は血管から体外へとしみ出したアンモニア臭のガスであるため、体を洗ったとしてもそのニオイは消えなそうです。
お酒をよく飲む人や、疲労が溜まっている人、便秘がちな人は要注意だよ!
プロテインで体臭がアンモニア臭に?
また、タンパク質が原料であるプロテインを過剰に摂取した場合にも、アンモニア臭が混ざった体臭となることがあるようです。
体内で吸収しきれなかったタンパク質は悪玉菌のエサとなり、悪玉菌の増加へとつながります。
そして、悪玉菌はアンモニアなどの有害物質の発生源です。
通常アンモニアは、肝臓によって尿素に変換されて尿と一緒に排出されることになりますが、肝機能が低下している人の場合、処理しきれなかった大量のアンモニアが血液に乗って体外へと放出されることになります。
これがアンモニア臭のする体臭の原因です。
アンモニア臭を無くすためには、悪玉菌を減らし、善玉菌を増やす必要があるため、腸内環境を整えるヨーグルトや食物繊維がオススメと言われています。
体臭で蝶が寄ってきたとしたらなんだか複雑だな・・・
そうだね・・・
そうならないためにも、健康的な生活をこころがけるようにしよう!
まとめ:蝶の成長過程により、蝶は『不死不滅』の象徴とされている
- 蝶は、仏教では『輪廻転生』の象徴であり、キリスト教では『復活』の象徴とされている
- 蝶柄には「女性の健やかな成長」を願う意味があるが、花から花へと次々に飛んでいく様子が「浮気者」に例えられ、縁起が悪いといわれることがある
- スピリチュアル的には、蝶は『幸運』の象徴となっており、特にアゲハ蝶は『運気上昇』の意味がある
- 黒の蝶は「吉兆・幸運」、白の蝶は「天使からの守護・好転」など、蝶の色によって縁起が異なる
- 蝶が寄ってくる人にはスピリチュアル的な意味もあるが、蝶を寄せ付ける生物学的な要因も考えられる
いかがでしたでしょうか。
蝶は、サナギから蝶へと変化する過程が再び生き返ったように捉えられ、『不死不滅』の象徴となったことが分かりました。
ちなみに、蝶の幼虫はサナギになると、一度リセットするかのようにサナギの中身はドロドロの液体状に変わるそうです。
そう考えると、一度幼虫は死んで、再び蝶の姿となって生き返るという考えが生まれるのも不思議ではありませんね。
とは言え、なぜ液体の状態から蝶へと変化できるのかというと、サナギの中の液体には、蝶になるための羽や脚、目といった器官の基となる細胞群が含まれており、液体は細胞群の栄養となって成長を促すからだそうです。
また、液体となっても脳や呼吸器官といった神経細胞は残っているため、幼虫の頃の記憶は蝶になっても残っていると言われています。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。