狐のお面の意味とは?色の違いや売っている場所、飾る場所について解説

「お面」と言えば、縁日などで見掛けるキャラクターもののお面が浮かびますが、昔から親しまれてきた動物のお面と言えば「狐のお面」ですよね。
白い狐のお面が一般的ですが、中には黒や赤といったお面もあるようです。
しかしながら「狐面」にはどういう意味があり、なぜ作られるようになったのか、よく分からないといった方が多いと思います。
そこで今回は、
・狐面の色の違い
・狐面の購入できる場所
・狐面の飾り方
・狐面の作り方
について解説・紹介していきます。
狐のお面の意味とは?

狐のお面はどのような用途で扱われているかというと、能楽(のうがく)・神楽(かぐら)・神社でのお祭り・郷土玩具などで使用されています。
そもそも「お面」(仮面)は、付けることで神が宿る(お面の人格に成り代わる)と考えられ、宗教的な儀式や祭礼で用いられていました。
その後、能楽や神楽などの舞台で使用されるようになり、子供の玩具としても売られるようになったと言われています。
元々狐は、ねずみから田畑(稲)を守ってくれる神様として「霊狐(れいこ)」と呼ばれ信仰の対象とされていました。
霊力を持った狐は別名「妖狐(ようこ)」とも呼ばれています。
妖狐(ようこ)とは

狐は100歳以上になると妖狐となり、歳を重ねるごとに妖力を増し、1000歳になると天と通じる「天狐(てんこ)」となると考えられていました。
妖狐の格付けとしては、低いものから「地狐(ちこ)」<「気狐(きこ)」<「空狐(くうこ)」<「天狐(てんこ)」となっています。
人に幸福をもたらす妖狐を「善狐(ぜんこ)」、悪さやいたずらをする妖狐を「野狐(やこ)」とし、「野狐」の中で人に危害を加える妖狐を「悪狐(あっこ)」と呼んで区別していたようです。
ちなみに、「善狐」の中にも悪い狐、「野狐」の中にも良い狐がいると言われ、「善狐」・「野狐」は血統のようなもので、いくら「野狐」が良い行いをしたとしても「善狐」になることはできないと言われています。
主に信仰の対象となっていたのは「善狐」で、善狐は人に見えない存在とされています。
稲荷神の使いとされた「白狐」

「善狐」は本来は透明ですが主に白い色で表されており、この白い狐は「白狐(びゃっこ)」と呼ばれ、五穀豊穣の神様の使者として神社で祀られるようになりました。
※五穀豊穣(ごこくほうじょう)とは、穀物(こくもつ)が豊かに実ることを言います。
また、五穀豊穣を司る食物の神様は、『宇賀之御魂命(うかのみたまのみこと)』となっており、「稲荷大明神(いなりだいみょうじん)」や「お稲荷さん」の愛称でも親しまれています。
※狐は「お稲荷さん」ではありませんので注意して下さいね。
ちなみに、「稲荷」という言葉は、当初「稲成り」とされていたものが、稲を荷なう(かつぐ)神像の姿から「稲荷」の字となったと言われています。
もともと狐は、田畑の守り神と信仰されていましたが、日本神話が伝わってからは神様の使者と考えられたようです。
「白狐」は神様と人の間を行き来できる存在とされ、一般的に幸福をもたらす存在とも言われています。
このように稲荷神の使いとされた「白狐」は『狐面』となり、祭りの儀式に使われた他、五穀豊穣の護符(お守り)の役割を果たすものとして神社の祭礼や、縁日(えんにち)などで縁起物として売られるようになりました。
当初は『五穀豊穣』の意味が強かった「狐面」ですが、庶民の生活に欠かせない神様として信仰されていたことから、現在では様々な開運の御利益があると言われています。
現在言われている御利益としては、次のようになっています。
- 五穀豊穣
- 商売繁盛
- 産業繁栄
- 家内安全
- 交通安全
- 芸能力向上
現在ではたくさんの御利益がありますね、「狐面」は白狐を表した白いお面が一般的ですが、中には「黒」・「青」・「赤」といった「狐面」も存在しています。
狐のお面で、黒・青・赤色はそれぞれどのような意味がある?

「白狐のお面」は幸運をもたらすと言われ、五穀豊穣などの御利益があると言われていますが、他の色のお面にはどういう意味があるのでしょうか。
残念ながら、色の違いだけで意味は無く、「狐面」に見られる模様も意味は持たないと言われています。
しかし、古代より全身が白や黒の動物には霊的な力があると考えられており、黒狐に至っては『平和の象徴』とされていたようです。
ちなみに、歌舞伎で見られる特徴的な「隈取り(くまどり)」(化粧法)には色によって意味があり、「赤」の隈取りは正義感や強さ、「青」の隈取りは冷酷さや不気味さ、「茶色」の隈取りは妖怪や鬼を表していると言われています。

もしかすると、狐の青色には霊的なものを表す意味があるのかもしれませんね。
狐面では色の違いでだけで意味は同じとされていますが、「妖狐」としては色の分類がされていますのでご紹介します。
妖狐の色の種類
白狐(びゃっこ)
私達が神社などで見かける妖狐となっています。一般的に善狐の代表格とされ、人々に幸福をもたらすと言われています。
黒狐(くろこ)
黒い毛を持つと言われています。また、『北斗七星の化身』と言われ平和の象徴となっています。
赤狐(せきこ)
赤い毛を持ちますが、白狐と同類とされています。また、神道系の妖狐となっています。
金狐(きんこ)
金色の毛を持ち、日(陽)の象徴とされています。仏教系の妖狐になります。
銀狐(ぎんこ)
銀色の毛を持ち、月(陰)の象徴とされています。仏教系の妖狐になります。
こちらの5色が色の分類となっていますが、この妖狐の色の分類を見ると、どうしても狐面の色と結びつけて考えてしまいますね。
ちなみに、狐面は色の種類だけではなく、神楽などで使用される「天狐面(てんこめん)」や「悪狐面(あっこめん)」など様々な役割のある狐面が作られています。
狐のお面を売っている場所は?
狐のお面の購入方法としては、
- 伏見稲荷大社の参道
- ネット通販
となります。
伏見稲荷大社の参道で購入できる狐面

以前は『伏見稲荷大社』で販売されていたようですが、伏見稲荷大社近辺の面張子の職人の方が引退されてしまったため、現在では伏見稲荷伝統の狐面は購入できなくなってしまっています。
しかしながら、伏見稲荷大社の裏参道にあるお土産屋さんでは狐面の取扱いがあり、購入することができます。
裏参道にある『高畠商店』で取り扱っている「狐面」は、一つ一つが手作りされているため、同じ狐面でも個性のある可愛らしい狐となっています。
和紙で作られた張子の狐面は温かみがあり、プラスチックで作られたものよりも味わい深い作品で、着物にとてもよく似合います。
ネットでのオンラインショップも開設されているようなので、検討されている方は下記のリンクからアクセスしてみて下さいね。
ネットで購入できる狐面
ネットでは、作家さんによるハンドメイド作品から、アニメに登場するお面など様々な商品が販売されています。
何を購入しようか迷ってしまうかもしれませんが、縁日でのイベントやハロウィンでの仮装の際には、水に強く、軽くて丈夫なプラスチック製の狐面の方が良いかもしれません。
いくつか商品をご紹介しますので、購入する際の参考にしてみて下さい。
かっこいい半狐面

『狐面堂』さんで販売されている『株式会社一千乃』製作の半狐面になります。シンプルですがデザインがかっこよく、品を感じる狐面となっています。
半狐面ですので、装着したままでも会話をすることができます。また、多少の水滴は弾く素材となっているようです。
かわいい狐面(女の子向け)

『和兎庵』さんの狐面になります。こちらの狐面は華やかなデザインが特徴で、女の子や大人の女性が欲しくなるようなお面となっています。
お面として付けるだけではなく、飾りとしてもとても可愛らしい作品なので新作などをチェックしてみて下さいね。
定番の狐面
こちらはプラスチック製の狐面となっていますが、光沢が抑えられた作りになっているため、口コミで高級感があると評されています。
湿気などを気にする必要がないので、安心して保管することができます。
大人気漫画『鬼滅の刃』の狐面
『鬼滅の刃(きめつのやいば)』はジャンプで掲載されていた大人気漫画で、2020年5月に最終話を迎えましたが、現在も人気がとどまるところを知りません。
漫画に登場した「狐面」も大変人気があり、価格も高騰しているのでよくサイトを見極めてから購入した方が良さそうです。
狐のお面を飾る場所はどこがいい?
御利益のある狐面を飾る際には、一般的に玄関から入って正面の壁に人を見下ろすように飾るのが良いと言われています。
玄関は、人の出入りがある場所となっているので福が人と一緒に舞い込みやすい場所とされています。
また、人が集まるリビングに飾る場合もあるようですが、その際も人を見下ろすように飾るというのがポイントとなっています。
しかしながら伏見稲荷大社に確認したところ、現在ではあまり考える必要はなく、好きな場所に飾って良いそうです。
では、最後に自分で狐面を作る方法について紹介します。
狐のお面の作り方
狐面を購入するのも良いですが、自分で狐面を作ってみるというのも面白いと思います。
そこで、『狐面の作り方』についていくつか紹介していきますので、自分にあった方法を見つけてみて下さい。
本格的な狐面の作り方
こちらはYouTubeで公開されている『夜酉薙稲荷神社(ヤトナギイナリジンジャ)』さんの狐面の作り方になります。
用意する材料は、「ねんど・ラップ・半紙(障子紙)・糊(のり)・新聞紙・絵の具・ニス(又は透明ラッカー)・紐(ひも)・ハサミ・カッター・キリ・水」となっています。
ねんどを使って型をとるので、自分好みの狐を作ることができ、様々な表情や形を作ることができる方法となっています。
紙と段ボールで作る狐面の作り方
こちらもYouTubeで公開されている『相楽製作所』さんの狐面の作り方になります。家庭にあるプリンターでデータを印刷し、ハサミで切ったり貼ったりして作ることができます。
材料は、0.16㎜の厚手のA4用紙・段ボール・接着剤・ハサミ・カッター・紐(ひも)となっています。
少し細かい作業となっているので、手先に自信のある方はぜひ挑戦してみて下さい。
絵付けのみしたい人向けの狐面
こちらの動画は、『蝶長チャンネル』で公開されている狐面の絵付け動画となっています。
あらかじめ無地の狐面を購入し、絵付けのみ自分で行う方法となっています。
狐面の素材にもよりますが、サインペンや水彩絵の具・アクリル絵の具など様々な方法で色付けが可能となっています。
無地の狐面もたくさん種類があるので、好みの狐を探してみて下さい。
『狐面堂』の狐面

『狐面堂』では、たくさん無地の狐面を取り扱っていますので、ぜひチェックしてみて下さい。
石膏塗装された狐面
こちらも自分で絵付けするタイプの狐面になります。
石膏が薄く塗ってあるため、安っぽくならず、しっかりとした作りになっています。
まとめ:狐のお面は御利益のある縁起物だった

- 狐は田畑を守る「守り神」として信仰されていた
- お面を付けることで神様が表意すると考えられていたため、儀式の際にお面が用いられていた
- 狐面には「五穀豊穣」・「商売繁盛」・「産業繁栄」などの意味がある
- 狐面の色が違っても意味は同じとされている
- 狐面は好きな場所に飾って良い
いかがでしたでしょうか。江戸時代では8割が農民だったと言われていますので、狐は人々の暮らしにとって大切な存在となっていたのでしょうね。
狐が信仰される以前は、農作物を荒らす猪を退治してくれる「狼(おおかみ)」が『大神(おおがみ)』と呼ばれ山の神様の使いとして信仰されていたようです。
しかし、稲作の発展と共に狼は山に姿を消し、里に住んでいた狐が信仰の対象となったと言われています。
狐と言えば、北海道が思い浮かびますが、本州・四国・九州でもホンドギツネと呼ばれる狐が生息しているそうです。
しかしながら生息範囲が限られている上、警戒心が強く、主に夜活動しているようなのであまり見かけることは少ないと言われています。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。